4. まとめにかえて
今回は、現役シニアが受け取っている年金受給額について詳しく見てきました。
2024年度の年金額の例によれば、標準的な夫婦2人で受け取れる年金額は23万483円です。この金額だけを見れば、夫婦2人で生活していくには十分な金額だと感じる方も多いでしょう。
しかし、仮に将来の年金水準が現在のものから2割減った場合、受け取れる年金額は20万円を下回ります。
老後は、現役時代とは異なり教育費や住宅ローンの負担がなくなる方も多いですが、その代わり健康に不調をきたし毎月の医療費の負担が大きいという方も少なくありません。
また、ライフスタイルが持ち家でなく賃貸の場合、毎月20万円を切る年金受給額から家賃を捻出しつつ日々の食費や医療費などの生活費までまかなうのは非常に厳しいという声もよく聞きます。
特に、昨今は物価高の影響で生活コストが上がったという高齢者も少なくありません。私たち現役世代が年金を受け取る年代になった頃には、現在より物価高が進んでいることも十分考えられます。
将来、生活に困らないためにも、今のうちから老後資金の準備を始めてみてはいかがでしょうか。
4.1 【ご参考】厚生年金の平均年金月額(全年齢)
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
4.2 【ご参考】国民年金の受給額(全年齢)
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
4.3 【ご参考】現役時代の収入ごとの年金例
- 夫が報酬54万9000円+妻が報酬37万4000円:33万4721円
- 夫が報酬43万9000円+妻が報酬30万円:29万4977円
- 夫が報酬32万9000円+妻が報酬22万5000円:25万5232円
- 夫が報酬54万9000円+妻が短時間労働者の平均的な収入:28万4588円
- 夫が報酬43万9000円+妻が短時間労働者の平均的な収入:26万967円
- 夫が報酬32万9000円+妻が短時間労働者の平均的な収入:23万7346円
- 妻が報酬37万4000円+夫が短時間労働者の平均的な収入:24万7101円
- 妻が報酬30万円+夫が短時間労働者の平均的な収入:23万978円
- 妻が報酬22万5000円+夫が短時間労働者の平均的な収入:21万4854円
- 夫婦ともに短時間労働者だった場合の平均的な収入:19万6968円
- 夫が報酬54万9000円+妻が国民年金のみ加入:25万4104円
- 夫が報酬43万9000円+妻が国民年金のみ加入:23万483円
- 夫が32万9000円+妻が国民年金のみ加入:20万6862円
- 妻が報酬37万4000円+夫が国民年金のみ加入:21万6617円
- 妻が報酬30万円+夫が国民年金のみ加入:20万494円
- 妻が報酬22万5000円+夫が国民年金のみ加入:18万4370円
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証結果の概要 」
鶴田 綾