現在年金トピックのなかで最も注目を集めているのが「遺族年金の改正」です。国の社会保障審議会では、昨年ごろから改正に向けた本格的な議論がされています。

遺族年金の改正については、SNSでもさまざまな意見が噴出。なかには、内容を誤解しているような意見も見られました。果たして、遺族年金は現在どのような点が問題となっており、どう改正される予定なのでしょうか。

この記事では、遺族年金の改正について、理由や現行制度の問題点、改正案の内容について解説します。遺族年金の現状と今後の展望をおさえて、改正内容を正しく理解しましょう。

1. どうして遺族年金が改正となるのか

遺族年金の改正が急ピッチで議論されているのは「制度内容が時代にそぐわない」ためです。特に遺族厚生年金は、男女による受給要件の違いや子どもの有無による受給期間の違いがあるため、現代においては受給できない人が増えることが懸念されています。

また、女性の就業率の増加や共働き世帯の増加も、遺族年金見直しの要因となっています。総務省の「労働力調査」によれば、2023年の女性の就業者は3051万人で、全体の45.2%を占めているとの結果が出ました。前年に比べて27万人増加しており、より多くの女性が社会で活躍していることがわかります。

共働き世帯は、厚生労働省の「令和5年版 厚生労働白書」によると1262万世帯となっており、片働き世帯539万世帯の2倍以上もの数となっています。

こうした時代背景に合わせて、制度も変化していく必要があることから、国の社会保障審議会年金部会では、遺族年金の見直しについて盛んに議論されているのです。

では、現行の遺族年金にはどのような問題点があるのでしょうか。次章で解説します。