2024年7月26日に公表された令和5年簡易生命表の概況によると、男性の平均寿命は81.09年、女性の平均寿命は87.14年とのことです。
長生きすることは良いことですが、老後生活が長くなればなるほど生活費や医療費の負担が増え、経済的に困窮するリスクが高まります。
多くの年金を受け取れる世帯ならある程度のゆとりがあるかもしれませんが、そうでない場合は自らの金融資産を取り崩して生活するか、年金以外の収入源を持つ必要があるでしょう。
今回は、平均寿命の推移や老後の平均的な生活費、公的年金の平均受給額などを見ていきます。
記事の後半では「今からできる老後対策3選」を紹介するので、老後生活に不安がある方はぜひ参考にしてください。
1. 平均寿命の推移
厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」から、平均寿命の推移を見てみます。
1.1 平均寿命の年次推移
- 昭和22年:男性50.06年・女性53.96年
- 昭和25-27年:男性59.57年・女性62.97年
- 昭和30年:男性63.60年・女性67.75年
- 昭和35年:男性65.32年・女性70.19年
- 昭和40年:男性67.74年・女性72.92年
- 昭和45年:男性69.31年・女性74.66年
- 昭和50年:男性71.73年・女性76.89年
- 昭和55年:男性73.35年・女性78.76年
- 昭和60年:男性74.78年・女性80.48年
- 平成2年:男性75.92年・女性81.90年
- 平成7年:男性76.38年・女性82.85年
- 平成12年:男性77.72年・女性84.60年
- 平成17年:男性78.56年・女性85.52年
- 平成22年:男性79.55年・女性86.30年
- 平成27年:男性80.75年・女性86.99年
- 令和2年:男性81.56年・女性87.71年
- 令和3年:男性81.47年・女性87.57年
- 令和4年:男性81.05年・女性87.09年
- 令和5年:男性81.09年・女性87.14年
昭和20年代と比べれば、男女ともに30年以上も平均寿命が伸びています。昭和から令和にかけて平均寿命は伸び続け、男女ともに令和2年(2020年)でピークとなり、その後はほぼ横ばいが続いています。
2. 65歳以上・無職世帯の家計収支から老後に不足する資金を試算
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、「65歳以上の夫婦無職世帯」と「65歳以上の単身無職世帯」の平均的な家計収支は以下のようになっています。
2.1 65歳以上の夫婦無職世帯の平均収支
- 実収入:24万4580円
- うち社会保障給付:21万8441円
- 非消費支出:3万1538円
- 可処分所得:21万3042円
- 消費支出:25万959円
- 収支:▲3万7916円
2.2 65歳以上の単身無職世帯の平均収支
- 実収入:12万6905円
- うち社会保障給付:11万8230円
- 非消費支出:1万2243円
- 可処分所得:11万4663円
- 消費支出:14万5430円
- 収支:▲3万768円
どちらの世帯でも、平均3万円以上の赤字となっていることがわかります。
65歳以降を「老後」とし、平均寿命まで生きるとすれば、男性の老後生活は約16年間、女性の老後生活は約22年間です。
例えば、平均寿命まで毎月3万768円の赤字が継続する場合、16年間で約590万円の赤字、22年間で約812万円の赤字となります。
当然、家計収支には世帯差があるので、「貯蓄が○○万円あれば足りる」とは断言できませんが、昨今の物価高や税負担の増加、年金不安などを加味すれば、十分な老後資金を準備しておく必要性は高いといえます。
続いて、老後の主な収入源となる公的年金の平均受給額も見てみましょう。
3. 国民年金と厚生年金の平均受給額
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号) 受給権者の平均年金月額は14万3973円、国民年金は5万6316円とのことです。
男女別の平均年金月額は以下の通りです。
【男性】
- 厚生年金:16万3875円
- 国民年金:5万8798円
【女性】
- 厚生年金:10万4878円
- 国民年金:5万4426円
特に、厚生年金の受給額は現役時代の収入と加入期間に左右されるので、個人差が大きくなります。
平均受給額は前述の通りですが、働き方などによっては受けとれる年金が少なくなります。
年金だけでの生活が困難だと予想される場合、老後に向けて早めに準備を始めておく必要があるでしょう。
4. 今からできる老後対策3選
老後資金を準備するには長い年月が必要になるので、なるべく早めに始めることが大切です。
そこで今回は、「今からできる老後対策3選」を紹介します。
4.1 家計の把握と見直し
まずは、家計を把握し、適宜見直しを行いましょう。
毎月かかる固定費を見直すことができれば、年間で数万円~数十万円の節約につながる可能性があります。
例えばですが、付き合いで加入した保険の保険料、使用量に合わないスマートフォンの通信料、不要なサブスクリプションサービスなど、意外と節約できるポイントがあるかもしれません。
また、老後に向けて適切なマネープランを立てるためにも、現在の家計の把握だけでなく、老後の収支まで想定しておくことが大切です。
4.2 NISA(少額投資非課税制度)で積立投資
積立投資とは、株式や投資信託などの金融商品を毎月一定額ずつ積み立てていく投資方法のことです。
積立期間が長ければ長いほど安定した運用成果を得られる可能性があり、NISAを活用すれば運用益が非課税となります。
預貯金とは違って元本割れのリスクが伴いますが、資産を増やすには投資による資産形成も視野に入れることが大切です。
4.3 iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、公的年金に上乗せする形で加入する私的年金です。投資信託や保険、定期預金などから拠出する商品を選び、毎月一定額ずつ積み立てていきます。
NISAと同様に、iDeCoで得た運用益は非課税となることに加え、掛金全額が所得控除の対象となり、受取時にも税制優遇措置があります。
将来受け取れる金額は運用結果によって異なり、原則60歳以降に年金または一時金として受け取ることが可能です。
60歳になるまで資金を引き出せないのはデメリットに感じるかもしれませんが、貯金が苦手な方にとってはメリットになり得るでしょう。
5. 自分に合ったマネープランを
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、年金収入だけで生活している世帯は41.7%に留まるとのことです。
まずは、日本年金機構の「ねんきんネット」等でご自身の見込み年金額を確認し、老後生活をより具体的に想定してみましょう。
年金だけで生活するのが難しいと考えられる場合は、なるべく早く準備を始めなければなりません。
NISAやiDeCoを活用した資産形成も視野に入れ、長期的なマネープランを立てていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況 Ⅱ 各種世帯の所得等の状況」
加藤 聖人