2.3 振替加算がもらえる
夫婦どちらか片方の年金のみを繰下げした際には加給年金の受け取りが可能ですが、加給年金の支給停止後には振替加算が受け取れます。
振替加算は、配偶者が65歳になり自身の加給年金の支給が停止された際に、本来支給されるはずだった加給年金が、配偶者の国民年金に上乗せされる形で振り替えられるものです。振替加算は、配偶者が国民年金を受け取っている限り、加算し続けられます。
振替加算の対象となる人は、以下のとおりです。
〈振替加算の対象者〉
- 大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれていること
- 配偶者が老齢基礎年金の他に老齢厚生年金や退職共済年金を受けている場合は、厚生年金保険および共済組合等の加入期間をあわせて240月未満であること
- 妻(夫)の共済組合等の加入期間を除いた厚生年金保険の35歳以降の(夫は40歳以降の)加入期間が、以下の年数未満であること
- 昭和22年4月1日以前:180月(15年)
- 昭和22年4月2日から昭和23年4月1日:192月(16年)
- 昭和23年4月2日から昭和24年4月1日:204月(17年)
- 昭和24年4月2日から昭和25年4月1日:216月(18年)
- 昭和25年4月2日から昭和26年4月1日:228月(19年)
たとえば、夫が65歳になった時点で専業主婦の妻が59歳の場合は、6年間加給年金が支給されます。妻が65歳になった時点で夫の加給年金は支給停止となりますが、代わりに妻の国民年金に振替加算が支給されます。このとき、夫のみ妻が65歳になるまでに国民年金を繰下げすれば、夫婦どちらも生涯増額分・上乗せ分の年金が受け取れるのです。
なお、振替加算は配偶者の国民年金に上乗せされる年金のため、自身の国民年金を妻が65歳以降になっても繰下げしていたり、配偶者も国民年金の繰下げしたりしてしまうと、振替加算は受け取れません。
2.4 妻が年上だった場合はどうなるのか
もし妻が年上で夫が年下の場合でも、要件を満たせば加給年金や振替加算は受給できます。ただし、妻が65歳になった時点で厚生年金保険への加入期間が20年以上あり、夫が専業主夫として家庭に入っている必要があります。
夫婦どちらも共働きの場合は、夫が妻の扶養に入っていない限り、加給年金や振替加算の支給対象となる可能性はありません。ただし、公的年金等控除は夫婦構成に関係なく適用できます。そのため、夫婦2人とも社会で活躍している夫婦は、どちらかの年金を年間110万円になるまで繰下げして、控除を最大限活かしながら年金の増額が可能です。
夫婦どちらかの年金繰下げは、妻のほうを繰下げするほうがお得です。その理由について、次章で解説します。