2. 新NISAはどうなってしまうのか
2024年から新しいNISA制度が始まっていますが、とりわけ人気商品となっているのが「米国株式」と「全世界株式」です。いずれもアメリカの株価の影響を大きく受ける商品ですから、トランプ氏の再選により「暴落するのではないか」と不安に感じている人もいるでしょう。新NISAにおける米国株式、全世界株式の値動きを展望してみましょう。
米国株式については、現在の価格上昇が一旦落ち着くことが予想されます。かつてトランプ氏が大統領をしていたときと、直近5年間とで、米国市場全体に投資できるETF「VTI」の値動きを比較してみましょう。
〈トランプ氏大統領在任時(2017〜2020)のVTIの市場価格〉
- 2017/12/31:137.06
- 2018/12/31:127.56
- 2019/12/31:163.70
- 2020/12/31:194.61
〈直近5年間(2020〜2024)のVTIの市場価格〉
- 2020/12/31:194.61
- 2021/12/31:241.49
- 2022/12/31:191.25
- 2023/12/31:237.25
- 2024/6/30:267.56
トランプ氏在任時は安定した上昇を続けていましたが、直近5年間では190ドルを下回ることなく、価格も激しく変動しています。2023年時点では237ドルと、2017年に比べて100ドルも価格が上がっています。
トランプ氏の主な公約は在任当時のものを踏襲する形となっているため、もし今回の選挙でトランプ氏が勝利した場合、価格は多少安定する可能性があるでしょう。
とはいえ、当時と今とでは金利差や国際情勢が異なります。FRB(連邦準備制度理事会)との連携や金融政策がうまくいかなければ、株価は大きく冷え込む可能性も考えられます。
上記の流れは、全世界株式にも同様の影響を与えるでしょう。三菱UFJアセットマネジメントによれば、全世界株式の人気商品「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の国別比率は、約6割がアメリカとなっています。米国市場の加熱が収まれば、値動きは今よりも多少緩やかになる可能性があります。
一方、全世界株式は米国市場以外の市場の動きも取り込めるため、他国市場の状況によっては、価格の下落を最低限で食い止められる可能性もあるでしょう。
いずれにしても、米国株式や全世界株式は大統領選挙期間の候補者発言や、選挙結果によって値動きが多少激しくなることが予測されます。最悪の場合、株価の暴落も起こり得ます。そうした値動きに対して、私たちはどのような姿勢で向き合えばよいのでしょう。次章では、新NISA暴落時の対処法について解説します。