2018年6月6日に行われた、ラサ工業株式会社2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:ラサ工業株式会社 取締役社長 庄司宇秀 氏
ラサ工業株式会社 取締役経営企画室長 望月哲夫 氏

事業概要

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望月哲夫氏(以下、望月):ただいまご紹介にあずかりました望月と申します。よろしくお願いします。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご来場いただきまして、ありがとうございます。

まず決算説明の前に、当社の事業概要について簡単にご説明させていただきます。連結売上高の内訳を示しております(スライド記載の)円グラフをご覧ください。当社の事業は、大きく3つに分けられます。

一番大きいのは、青色の化成品事業です。連結売上の約7割、194億円の当社主力事業です。主な製品としてはリン酸、リン酸塩などのリン系製品の他、水処理に使われます凝集剤やコンデンサー向け原料や、消臭剤などがあります。

2番目は機械事業で、連結売上の約2割、51億円の事業です。破砕機、選別機などの建設機械や、上下水道向けの掘進機などの土木機械があります。

3番目は電子材料事業で、連結売上の6パーセント、16億円の事業です。化合物半導体向け高純度無機素材、具体的にはガリウム、インジウムなどや放射性ヨウ素吸着剤などがあります。なお、この3つの事業以外でもその他事業として石油精製用触媒の再生事業と不動産賃貸業があります。

当社の近時の業績が好調な背景の1つとしまして、当社主力事業であります、化成品事業の1つの高純度リン酸……これは半導体の製造工程でエッチング材としても使われますが、これが半導体関連ユーザーの需要増加により販売が増えていることが挙げられます。

当社グループでは品質面での強みに加えて、こちらの右の地図にありますように、日本と台湾の連結子会社と韓国の持分法適用合弁会社の3ヶ国で、高純度リン酸を製造し、各国の半導体関連ユーザーに販売していることが、この分野の強みになっております。

2018年3月期 決算概要

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次に、2018年3月期の実績及び2019年3月期の見通しについて、ご説明いたします。

まず、2018年3月期決算概要です。

売上高274億円、営業利益28億円、経常利益27億円、当期純利益22億円と、前期比増収増益の決算となり、1株配当金40円を予定しております。

売上高が前期比41億円増、営業利益が前期比75パーセント増の12億円増、経常利益が前期比倍増の13億円増と、大幅増益となりました。これは、化成品を中心に3事業とも前期比増収増益と好調に推移したためであり、営業利益と経常利益が11期ぶりの利益水準となりました。

ただし2018年3月期には、在庫評価益約3億円と貸倒引当金の戻し入れ益約1億円の、合計約4億円の一時的な利益要因がありましたため、少し実力以上の結果となっています。

なお、経常利益の前期比13億円増に対し、当期純利益が前期比5億円増に留まっているのは、1期前の2017年3月期会計基準の変更に伴う法人税等調整額7億円強の利益計上したものが、なくなったことによるものです。

年度業績の推移

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次に年度業績の推移です。

過去8期分の連結売上高を折れ線グラフに、営業利益を棒グラフにしています。売上・利益ともに、2013年3月期をボトムに過去5期、少し波はありますが、トレンドとして増収増益トレンドになっています。

とくに営業利益の棒グラフを見てみますと、過去好調な年でも17億円前後止まりだった営業利益が、2018年3月期に28億円と、大幅に増益していることがわかります。

四半期業績の推移

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次に四半期業績の推移です。

過去3年分の四半期業績をグラフ化しており、2017年3月期の第1四半期をボトムに2年間、トレンドとして増収増益トレンドとなっています。

2018年3月期 セグメント別概要(売上高)

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次にセグメント別概要の売上高です。

3事業とも、前期比2割近い増収となっています。とくに化成品は前期比30億円増で、連結売上高41億円増の7割強と、大きく寄与しています。なお、その他事業は売上12億円前後で安定しています。

2018年3月期 セグメント別概要(利益)

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次にセグメント別の利益です。

3事業とも前期比大幅増益となっています。

化成品事業はセグメント利益19億円と、前期比5億円の増益で37パーセント増益、また2年前に比べ約倍増しています。

機械事業はセグメント利益5億円と、前期比3億円の増益で前期比2.9倍と、大幅増益となっています。

電子材料事業はセグメント利益3億円と、前期比2億円の増益で前期比3.3倍と、やはり大幅増益となっています。

なお、その他事業はセグメント利益7、8億円で比較的安定しています。

各事業の増益要因は、次でご説明します。

化成品事業

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まず化成品事業です。

左側のグラフで、3年間の売上高を折れ線グラフで、セグメント利益を棒グラフで示しており、過去2期増収増益となっております。とくにセグメント利益は、2年前の倍に増加しています。

右側のグラフで売上高の内訳を示しており、緑色がリン酸などのリン系製品、茶色が凝集剤、青色がその他製品で、ここまでが単体の内訳。その上のグレーの部分が、連結子会社などを示しています。

緑色のリン系製品が、電子工業向け高純度品を中心に2年前の1.5倍と、大幅な増収となっています。また、青色のその他製品の増収は、コンデンサー向け原料の増収が主な要因となっています。

化成品事業(四半期業績)

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次に3年間の四半期業績推移です。

売上高は2017年3月期第1四半期から増収傾向にあり、とくに2018年3月期第3四半期から、大きく増収となっていますが、設備投資による増収効果などが寄与しているものです。

セグメント利益についても、若干四半期によるばらつきはありますが、トレンドとして増収による増益効果が現れています。

機械事業

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次に機械事業です。

左側のグラフで3年間の売上高と利益をご覧いただきますと、真ん中の2017年3月期がへこんでいるのが見て取れると思いますが、この期の売上の一部が2018年3月期に期ズレしたことによるもので、2年間の平均を取りますと、売上・利益ともにその前の期、2016年3月期に近い数字になります。

右側のグラフで売上高の内訳を見ますと、緑色の建設機械は前期比10億円増と、大幅な増収になっており、主にプラント販売が震災復興関連機械など、先ほどの期ズレ分も含めて増加したことなどによるものです。

一方で、茶色の土木機械は、掘進機の海外向けが前期に引き続き低迷しています。

機械事業(四半期業績)

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次に四半期業績推移です。

四半期によるばらつきがあるため、年間トータルでの比較のほうが全体観やトレンドを捉えやすいと思いますが、傾向としては年度末の第4四半期に売上・利益が増える傾向があります。

電子材料事業

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次に電子材料事業です。

左側のグラフで3年間の売上高と利益をご覧いただきますと、2016年3月期の売上高が非常に多く、利益としては両端の2016年3月期と2018年3月期が多くなっています。

右側の売上高の内訳を見ますと、2016年3月期は茶色の機能性材料、具体的には原子力発電所の事故発生時用のベントフィルターの材料であります放射性ヨウ素吸着剤の売上が約10億円あり、売上・利益に寄与しているためです。

一方、2018年3月期は、化合物半導体向け高純度無機素材の販売数量増により、売上は前期比2億円増ですが、利益は2億6,000万円増加しています。これは資源価格の大幅な回復により、在庫評価の戻し入れ益が約3億円発生したことによるものです。

電子材料事業(四半期業績)

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次に四半期業績推移です。

2016年3月期の第2四半期に放射線ヨウ素吸着剤の販売があり(売上高の折れ線グラフが)山になっていますが、それ以外の売上高は、約4億円前後です。一方、利益は四半期によりばらつきがありますが、資源相場の変動に伴う在庫評価損益の影響が利益変動の大きな要因となっています。

損益計算書(連結)

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次に損益決算書です。

すでに概要及び内訳などについてご説明していますので、ここでは説明を省略させていただきます。

貸借対照表(連結)

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次に貸借対照表です。

前期比の主な増減項目として、現預金は15億円増、有形固定資産は設備投資の実施により16億円増、長短借入金は合計13億円増、純資産は22億円増、総資産は50億円増となっています。また、自己資本比率は35.7パーセントと、前期比1.3ポイント増となっています。

キャッシュ・フロー計算書(連結)

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次にキャッシュ・フロー計算書です。

営業キャッシュ・フローは25億円、うち償却前利益が37億円と前期比16億円増となっています。

投資キャッシュ・フローはマイナス21億2,000万円、財務キャッシュ・フローは10億7,400万円、現金等の期中増加は15億2,900万円となっています。

2019/3期の業績予想

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次に新年度、2019年3月期の業績予想です。

化成品事業は、半導体用高純度リン酸などの販売増加により、大幅増収を予想していますが、前期の設備投資に伴う原価償却などのコストアップ要因なども見込んでおり、利益は前期比6パーセント程度、約1億円の増益予想です。機械事業は、掘進機の海外販売の回復と、除染関連プラントの販売を予想しており、増収、若干の増益予想です。

電子材料事業は、放射性ヨウ素吸着剤の販売の可能性を見込んでいますが、前期の在庫評価益がなくなるため、前期比では増収減益の予想です。全体の連結予想では、売上高は320億円と、前期比45億7,300万円増。営業利益は28億円、前期比4,200万円減益。経常利益は28億円、前期比8,200万円増益。当期純利益は23億円、前期比4,900万円増益を予想しています。

利益予想は、前期比では横ばいないし若干の増加ですが、先ほどご説明のとおり、前期、2018年3月期には約4億円の一時的な利益要因があったため、それを除きますと、実質的には経常利益で、前期比5億円近い増益を予想していることになります。なお、配当金は前期と同額の40円を予想しています。

設備投資・減価償却費及び研究開発費の推移

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最後に、設備投資・減価償却費・研究開発費の推移です。

左側の青い棒グラフのとおり、2018年3月期の設備投資は26億4,100万円と、主に化成品事業において、半導体用高純度リン酸設備の更新と増強などの投資を実施しました。2019年3月期も18億円と、引き続き化成品事業を中心に設備更新など、グラフの赤い棒が示す減価償却費を上回る設備投資を行う計画です。

なお、2019年3月期の減価償却費は、前期に比べて約3億円増える見込みです。また、研究開発費については、右のグラフが示すとおり、大きな変動はありません。私からのご説明は以上です。

前中期経営計画の総括

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庄司宇秀氏(以下、庄司):それでは、今年度からスタートいたします、3ヶ年の新しい中期経営計画について、ご説明を申し上げます。

その前に、これまでの中期経営計画の3ヶ年の実績の総括でございますが、前中期経営計画では、3つの目標を掲げていました。

1つ目は、連結営業利益15億円でございますが、最終年度であります2018年3月期の実績は、大幅増の28億円となりました。

2つ目は、財務健全化の指標であります、ネットD/Eレシオを0.7倍以下にすることでございますが、これも0.54倍になりました。

3つ目は、安定的な配当体制の確立でございますが、2017年3月期に2円の復配を果たし、2018年3月期には株式併合とともに、40円と増配を予定しています。

前中期経営計画は、控えめな目標ではございましたけれども、3つとも達成することができました。一方、残された課題もいくつかあり、それらを踏まえまして、新しい中期経営計画を策定しています。

中期経営計画2020(2018~2020年度)の概要

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それでは、中期経営計画2020の概要をご説明いたします。

新中期経営計画では、「『事業基盤の更なる安定と強化』を目指す」ことを基本方針といたしています。目標といたしましては、最終年度の連結営業利益を33億円に。最終年度の連結自己資本比率を50パーセントに。そして、業績に応じた配当の継続という3つの目標を掲げています。

そのための事業戦略といたしましては、全社方針といたしまして、既存事業の強化・領域の拡大。グローバル市場への対応強化。新規事業の探索・育成の3つを掲げ、取り組んでまいります。

中期経営計画2020の事業戦略

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この3つの事業戦略に対応する施策です。

1つ目の既存事業の強化・領域拡大に関しましては、営業力の強化とユーザーニーズの早期把握を通じ、高純度リン酸などの既存商品の拡販による収益の向上を図るとともに、高品質の商品を供給するためにも、設備の維持保全を心がけ、安定供給力の向上を目指してまいります。

2つ目のグローバル市場への対応強化に関しましては、販売・仕入ともにアジア市場への取り組みを強化するとともに、黄リンなどの原料調達、およびデリバリーの安定確保に努めてまいります。

3つ目の新規事業の探索・育成に関しましては、製品開発と営業の連携を更に強化し、ユーザーの拡大と商品の高付加価値化に取り組んでまいる所存でございます。

中期経営計画2020の数値目標

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続いて、新中期経営計画の数値目標についてでございます。

当社といたしましては、この3年間を事業基盤の更なる安定と、次期ステージに向けた強化を図る期間と位置付けています。そのために、収益力の向上を図るとともに、財務体質の一層の強化を目指してまいります。具体的には、連結営業利益を2018年3月期の実績の28億4,000万円から、3年後に33億円と、5億円の増加を計画しています。

増加率といたしましては、約16パーセントになります。ただし、2018年3月期には、先ほど申しましたとおり、約4億円の一時的な利益要因があったため、実質的には9億円の増益計画になっています。また、財務面では、連結自己資本比率を2018年3月期実績の35.7パーセントから、3年間で50パーセントへと、約15パーセントアップさせる計画でございます。

重点施策①

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次に、各事業別の重点施策についてご説明いたします。

最初に、化成品事業でございますが、高純度リン酸などの拡販については、半導体関連の需要拡大に対応すべく、一層の品質向上や原料調達を含めた、確実な供給体制の確立を通じて、拡販につなげてまいります。また、コンデンサー向け原料の需要拡大への対応も強化してまいります。グローバル市場での体制強化といたしましては、台湾子会社の設備更新および増強を図るとともに、韓国合弁会社との連携を強化してまいります。

重点施策②

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次に、機械事業でございます。

震災復興関連需要の取り組みに関しましては、現在、汚染土壌などを減容化する、中間処理等のプラント工事の受注販売を目指しています。下水道向け掘進機の海外新規市場の開拓に関しましては、東南アジア新興国、とくにフィリピン・ベトナムなどの開拓および更新需要に対しては、積極的に取り組んでまいる所存でございます。粉体向け機械の販売の強化に関しましては、引き続き、バイオマス熱利用装置の新たな営業展開にも取り組んでまいります。

重点施策③

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続きまして、電子材料事業でございます。高純度無機素材の収益改善に関しましては、積極的な営業による販売数量の増加や、ガリウム・インジウムなどの市況改善に伴う価格見直しを推し進め、収益の改善につなげてまいります。また、放射性ヨウ素吸着剤(AgX)の営業強化に関しましては、海外向けの販売実現に向けた他社との営業強力や、顧客ニーズに応じた製品の開発に努力してまいります。

セグメント別基本戦略

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次に、セグメント別基本戦略でございます。

主力の化成品事業につきましては、IoT・AI・車載関係用途での半導体の需要増加が見込まれることから、高純度リン酸の需要拡大に積極的に対応するとともに、電子回路に使われるセラミックコンデンサー向け原料の拡販に向けた、対応強化を図ることといたしています。また、海外関連会社との連携を深め、消臭剤などの拡販につなげてまいる所存でございます。

次に、機械事業では、震災関連・復興事業での受注獲得に注力するとともに、土木機械や粉体向け機械の新規開拓を推し進めてまいります。また、バイオマス熱利用装置の新たな展開にも取り組んでまいります。

電子材料では、引き続き高純度無機素材の収益改善に努力するとともに、ユーザーニーズに対応した、塗布剤の拡販に努力してまいります。放射性ヨウ素吸着剤の海外向け販売実現に、努力してまいる所存でございます。

営業利益面では、連結営業利益を3年間で5億円増やす計画でございますが、セグメント別には、化成品事業を中心に増やしていく方針でございます。

ここまで、新中期経営計画の概要についてご説明させていただきました。ありがとうございました。

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