「被災者を思って贅沢を自粛する人が多いが、ここは大いに被災地の商品を消費して経済を元気にすべきだ」と久留米大学商学部の塚崎公義教授は主張します。

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大阪で震度6弱の地震があり、大きな被害が出ました。被災者の方に、お見舞いを申し上げます。

大規模な災害などがあると、被災者が困っている姿がマスコミ等々から流れてきて、同情の念と同時に「被災者があんなに苦労しているのに、自分が贅沢をしては申し訳ない」という気持ちもあって、飲み会を自粛したりする人も多いようです。

しかし、被災者の方々は、それを望んでいるでしょうか。そんなことより、大いに飲み会を開いて被災地の酒と特産品を楽しんでほしい、と思うのではないでしょうか。

筆者はそう考えて、東北や熊本の地震の時には大いに被災地の酒と肴を消費することで被災地復興に貢献しました。もちろん、被災地支援の募金も多少は行いましたが(笑)。

今回は、震源地が大都市であり、地元特産の酒と肴が何であるのか、これから調べますが、飲み会に限らず広く関西地区の経済に貢献できればと考えています。

なお、大地震で困っているのは被災地だけではありません。大地震のせいで、全国の飲み屋が閑古鳥が鳴くようなことがあってはなりません。ここは、日本経済のためにも大いに飲みましょう。

日本の景気への影響は様々。復興需要の過大な期待は危険

では、日本の景気を全体として見ると、大地震の影響はどうなのでしょうか。最初に考えつくのは、「壊れた家等を建て直すので、景気が良くなるはずだ」ということですね。

余談ですが、多くの家が壊れると、大工や材木屋などの仕事が増えて景気が良くなり、人々の生活が豊かになる、というのは納得しにくいことですが、経済というのはそういうものだ、と割り切るしかありません。ケインズは「景気が悪い時は失業者を雇って穴を掘らせろ」と言ったようですので(笑)。

もっとも、この効果を過大に見積もることは危険かもしれません。倒れた家を建て直す資金が工面できない人も多いでしょうから。極端な数値例を考えてみましょう。家の立て直しに1000万円必要だとします。倒壊した家が100件あり、住人は親戚の家に避難しています。毎月1家族が借金や自己資金で家を建てるとすると、毎月の復興需要は1000万円です。

一方で、家を失った家族は、家を建て直すために倹約します。100家族が毎月10万円ずつ倹約すると、個人消費の減少は1000万円となります。差し引きすると、効果はゼロです。もちろん、極端な数値例ではありますが。

筆者としては、これを機に全国的に防災意識が盛り上がり、耐震補強工事などが各地で活発化することを期待していますが、これも過大な期待は禁物でしょう。

一方で、景気に悪い影響も

観光客が減ることは、地元経済の痛手でしょう。観光資源が破壊されてしまえば、半永久的なマイナスともなりかねません。そうでなくとも、交通機関等が復旧するまで観光は不振でしょうし、短期的には次の地震(次の方が大きいかもしれないので、余震とは言わない)への警戒感も観光客を遠ざけるでしょう。

日本人であれば、「関西は怖いから東北へ旅行しよう」ということになって日本全体としての景気への悪影響は避けられるかもしれませんが、外国人のインバウンドに関しては「日本は怖いから別の国へ行こう」となってしまうかもしれません。

生産設備が壊れたことの影響もあるでしょう。一時的に生産できなくて在庫切れになったとしても、その分は他の地域のライバルが増産して補えば、日本全体としての景気には悪影響が小さいかもしれませんが、設備が壊れたことで倒産した会社の従業員が給料がもらえずに消費を減らす、といった影響が出ると、その分は他で取り返せないので、景気の下押し要因となります。

そして、上記の消費自粛ですね。

場合によっては、日本の大災害がドル安円高をもたらす場合もあります。海外に資産を持っている日本人投資家が「何が起きるかわからないので、とりあえずリスク資産を売却して静かにしていよう」と考えるからです。どの程度の円高になるのか、それがどの程度景気を下押しするのか、ケース・バイ・ケースでしょうが。

上記を総合すると、「復興需要で景気が良くなる」と単純に考えるわけにはいかないようですね。「それならば、日本経済を元気にし、被災地を元気にするために、自分が積極的に消費をする」、という筆者の姿勢、ご理解いただけたでしょうか。

読者各位におかれましても、ぜひとも積極的な消費をお願いしたいところですが、せめて筆者等に対して「こんな時に浮かれて酔っ払っているのは不謹慎だ」という批判だけはご遠慮ください。よろしくお願いいたします。

なお、本稿は厳密性よりも理解しやすさを重視しているため、細部が事実と異なる可能性があります。ご了承ください。

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塚崎 公義