3. 高齢者の年金額はいくら?それほど厳しいのか
前年の調査結果と比べると、年金だけで生活する高齢者の割合は44%→41.7%に減少していることがわかります。
3.1 年金だけで生活する高齢者世帯の割合(前年調査)
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%:44.0%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80%~100%未満:16.5%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満:13.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満:13.5%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~60%未満:8.5%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満:3.6%
平均所得金額の構成割合を見ると、高齢者世帯において「公的年金・恩給」が占める割合は2018年で63.6%。2021年には62.8%となり、直近の2022年は62.9%となりました。
大きな増減はありませんが、稼働所得の割合は26.1%で、2018年(23.0%)・2021年(25.2%)より高まっています。また、年金以外の社会保障給付金も微増しています。
昨今では働くシニアが増え、また低所得者世帯を対象とした給付金も行われており、こうした背景が要因の一つと考えられます。
なお、2024年度の公的年金については2.7%の増額となりました
- 国民年金(老齢基礎年金):6万8000円(1人分)
- 厚生年金:23万483円(標準的な夫婦2人分)
2024年度の調査結果が出るときに「年金だけで生活する割合」がどのように変動するのかにも注目したいところですが、実質的には物価上昇に負けて減額となっている側面に注意が必要です。
また、全ての人が上記の金額通りに受け取れるわけではないことにも注意しましょう。
国民年金の金額例は「満額受給する1人分」の年金額なので、保険料の未納期間がある場合はさらに受給額が少なくなります。
また、厚生年金の金額は「標準的な夫婦2人分」の年金額ですが、単純に「1人あたり11万5000円」となるわけではありません。
「標準的な夫婦」の試算根拠として、厚生労働省は「平均的な収入(平均標準報酬43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める老齢厚生年金と2人分の国民年金年金(満額)の給付水準」と説明しています。
つまり、会社員として40年間43万9000円を稼ぎ続けた夫(妻)と、一度も厚生年金に加入したことのない妻(夫)を想定しているため、個人差が大きいといえるのです。
参考までに、2022年度に実際に支給された「国民年金・厚生年金」それぞれの平均月額を確認してみましょう。