2024年7月7日、「恋人の聖地」や「七夕の里」とよばれる福岡県小郡市では、7月7日七夕の日に入籍したカップルに入籍記念写真のデータとオリジナル婚姻届受理証明書をプレゼントする取り組みを行っていました。

婚姻届を提出する人に対するサービス向上が目的とのことでしたが、結婚と同様に、若い世代における消費の落ちつきについて話題に挙がる機会は少なくないように感じます。

例えば「若者の〇〇離れ」もその1つ。最近の若者たちは車やブランドの洋服、高価な旅行などに興味がうすい傾向にあるといわれています。この背景には手取り額の減少や国内における景気の落ち込みなどがあると考えられています。

また、結婚式のご祝儀を「高い」と感じる人も多く存在することは、X(旧:Twitter)などのSNSで繰り広げられる「ご祝儀論争」にも明らかです。

ご祝儀として包む金額に明確な決まりはないものの「3万円」と一般的にいわれています。3万円は多くの人にとって大金であるため、捻出が大変な人や、結婚式が続けば家計を圧迫すると感じる人もいます。

本記事では、結婚式のご祝儀の理想的金額や現代における結婚、20歳代・30歳代の貯蓄事情を見ていきましょう。

1. そもそも「ご祝儀貧乏」な状態とは

「ご祝儀貧乏」とは結婚式や出産祝いのような慶び事が続き、貯金や生活費に支障をきたすような状態に陥ることをいいます。

特に、20歳代後半から30歳代前半は友人の結婚式が続くことも多く、結婚式の招待状が毎月のように届く人もいるようです。

結婚式のご祝儀の金額に明確な決まりはないものの一般的に3万円といわれており、この金額を負担に感じる人も少なくありません。

ご祝儀を捻出するために生活費を極度に切り詰めたり、貯蓄を取り崩したりする人も珍しくないといわれています。また、結婚式に頻繁に参列していると、貯蓄できない月が続くこともあります。

次の章では、20歳代〜30歳代が考える理想のご祝儀金額について確認していきましょう。

2. 結婚式のご祝儀「3万円」は高すぎる...理想のご祝儀は「1万円」

結婚を意識する世代を中心に度々起こっている結婚式のご祝儀の金額論争。

「3万円は高い」「給与と釣り合っていない」という声もある一方、「料理代や引き出物代を考慮すると3万円がちょうどよいくらい」という意見もあります。

たしかに3万円は大きな金額であるものの、結婚式場を併設するホテルやレストランでコース料理を食べると1〜2万円前後の予算を考えておく必要があることも。

また、引き出物に数千円かけている新郎新婦が多いので、参列者がお金を一方的に支払っているわけでもありません。

こうしたことからも「ご祝儀3万円」が高いか安いかは答えを出しにくい、むずかしい問題といえます。

HiClub株式会社「結婚式の参列とご祝儀」に関するアンケート調査(20歳〜39歳、女性、有効回答数:247名)結果から、負担に感じないご祝儀の金額を見ていきましょう。

【写真全4枚中1枚目】ご祝儀の金額はどのくらいなら負担に感じないか。2枚目以降では、平均初婚年齢の年次推移などを掲載。1/4

ご祝儀の金額はどのくらいであれば負担に感じないか

出所:HiClub株式会 「「結婚式の参列とご祝儀」に関するアンケート調査結果」

  • 1万円:43.6%
  • 5000円:24.5%
  • 1万5000円:16.8%
  • 2万円:8.8%
  • 2万5000円:6.3%

負担に感じないご祝儀の金額として「1万円」がもっとも多くの回答を集めました。次いで「5000円」が多い結果となっています。

この回答を見ても、3万円という金額が多くの人にとってハードルのある金額であるか分かるような気がします。

結婚式に参列するにあたってかかる費用は「ご祝儀」のみとならないことがほとんどです。式場までの交通費や宿泊費、ヘアセット代、衣装代などがかかることも多くあります。

特に、遠方の結婚式に参列する場合、交通費や宿泊費だけで数万円かかることも多いです。それに加えて3万円のご祝儀となると、かなりの負担でしょう。

また、結婚式では同じ人と毎回のように顔を合わせることも珍しくありません。

たとえば、学生時代の友人の結婚式であれば、参列者には共通の知人・友人も多く、似たような顔ぶれになります。

特に女性の場合、衣装がいつも同じドレスだと、気まずさを感じる人もいると思います。何着かの衣装を用意しなければならず、衣装代も負担になります。

結婚式参列においてトータルでかかる費用を鑑みても、理想のご祝儀金額はまちまちでありながらも、3万円より低い価格帯に位置しているのかもしれませんね。

次の章では、初婚年齢の年次推移をみていきましょう。

3. 現代において「初婚」は30歳前後の人が多い

「3万円のご祝儀が高い」という声が多く挙がっていますが、その要因の1つとして結婚式のご祝儀を支払うボリューム層が30歳前後の年代であることも挙げられると思います。

3.1 【男女別】平均初婚年齢の年次推移

  • 2000年:27.7歳(妻)28.8歳(夫)
  • 2005年:28.0歳(妻)29.8歳(夫)
  • 2010年:28.8歳(妻)30.5歳(夫)
  • 2015年:29.4歳(妻)31.1歳(夫)
  • 2020年:29.4歳(妻)31.0歳(夫)
  • 2022年:29.7歳(妻)31.1歳(夫)

2022年における平均初婚年齢は、夫は31.1歳、妻は29.7歳となっています。30歳代前後で結婚する人が多いため、参列者の年齢も20歳代後半から30歳代前半が多いと思われます。

この年代には働き始めたばかりで年収が少ない人や奨学金の返済を抱えている人、職が安定していない人なども多くいます。

特に、1人暮らしをしている人は給与から生活費を差し引くと余剰資金がほとんど残らない人も珍しくありません。3万円のご祝儀を痛手に感じるのも仕方ないでしょう。

また、「結婚ラッシュ」という言葉があるように、20歳代後半から30歳代前半に周囲が次々と結婚し、結婚式の参列が続くケースもあります。

この場合、年に数回にわたって3万円のご祝儀を用意する必要があり、貯蓄どころではなくなることもあります。

次の章で、20歳代・30歳代単身世帯の貯蓄事情を詳しくみていきましょう。

4. ご祝儀3万円が高いと感じるのも納得。単身の20歳代・30歳代の貯蓄事情とは

ここでは、単身の20歳代・30歳代の貯蓄額を見ていきましょう。

4.1 20歳代・単身世帯の金融資産保有額(金融資産非保有者含む)

  • 平均:121万円
  • 中央値:9万円

【20歳代】単身世帯の貯蓄額3/4

20歳代単身世帯の貯蓄額

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)をもとに筆者作成

調査によると、20歳代の23.9%が貯蓄がない状況です。就職して間もないため貯蓄できるほど経済的に余裕がない人が多いと思われます。

貯蓄がない状態で結婚式に参列するとなれば、生活を切り詰めてご祝儀を捻出しなければならないこともあるでしょう。

また、100万円未満の貯蓄額の人は全体の23%です。100万円未満には貯蓄額が1万円に満たない人も含まれるため、多くの20歳代が貯蓄をそう多くはもっていないと考えられます。

まとまった貯蓄がある人であっても引っ越し代や賃貸物件の更新料などの支払いに向けて、お金を手元に残している人もいます。

4.2 30歳代・単身世帯の金融資産保有額(金融資産非保有者含む)

  • 平均:594万円
  • 中央値:100万円

【30歳代】単身世帯の貯蓄額4/4

30歳代単身世帯の貯蓄額

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)をもとに筆者作成

30歳代になると、10年前後の社会人としてのキャリアをもつ人も増えてきます。このため、20歳代よりも貯蓄額の平均額も中央値も高くなっています。

とはいえ、金融資産非保有者は全体の34%におよびます。また、貯蓄額が1円~100万円未満の人は14.5%。貯蓄がない世帯を含めると、全体の半数近くを占めています。

一方、1500万円以上の貯蓄がある人は全体の10%ほどを占めています。

30歳代になると貯蓄額が二極化してきますが、貯蓄がほとんどない人も珍しくなく、この年代にとっても「ご祝儀3万円は高い」というのが一般的な価値観だと思います。

5. まとめにかえて

結婚式のご祝儀の相場はバブル時代から変わらず3万円が相場といわれています。

しかし、昨今の若者の経済事情を鑑みると、ご祝儀3万円は多くの人にとって負担に感じているように思います。

とはいえ、当日いただく料理や引き出物代を考えると、3万円が高いというわけでもないため、むずかしい問題となっているようです。

近年はさまざまなタイプの結婚式が受け入れられつつあるので、将来的には結婚式のご祝儀の相場が変わったり、結婚式の新たなスタイルも主流になったりするかもしれません。

また最近では「心から参列したいと思える人の結婚式にしか行かない」と考える人も少なくないようです。自分の気持ちや経済事情を考慮しながら考えてみてください。

仕事や経済状況を理由に結婚式に参列しなかったとしても、ささやかなギフトをプレゼントしたり、メッセージカードを贈ったりすることで、相手に思いが伝わるはずです。

参考資料

西田 梨紗