世間は夏休みシーズン。学校から開放された子どもたちの姿を街で見かけるようになりました。子どもの世界においていじめは昔からありますが、現代でも変わりません。

文部科学省が公表した統計によると、2022(令和4)年の小・中・高等学校および特別支援学校におけるいじめの認知件数は68万1948件(前年度61万5351件)。前年度に比べて6万6597件(10.8%)も増加していました。

子どもたちがスマートフォンやパソコンを日常的に扱うようになった昨今、いじめはむしろ巧妙化しているとさえいえ、大人の想像を超えるものも少なくないのが現状だと思います。

もしも、我が子から「学校に行きたくない」と告げられた場合、ほとんどの親御さんが戸惑うはずです。

我が子の苦しみを和らげたいと思いつつも、中学校までは義務教育である他、子どもの将来への懸念から迷うところでしょう。

しかし、不登校は珍しい問題ではなく、同じような悩みを抱える親御さんは多いです。

本記事では、不登校の児童・生徒の推移や我が子が不登校になったときの対応方法などについて解説します。

1. 不登校の児童・生徒の数は過去最多…中学校は人生における「1つの壁」なのか

まずは、こども家庭庁「令和5年度 我が国におけるこどもをめぐる状況及び政府が講じたこども施策の実施状況」(令和6年版こども白書)から、現代における小学校、中学校、高校における「不登校の状況」を見てみましょう。

【写真全5枚中1枚目】不登校の状況(小学校・中学校・高等学校)。2枚目以降では、子どもたちの学校以外の居場所についての調査結果などを掲載。1/5

不登校の状況(小学校・中学校・高等学校)

出所:こども家庭庁「令和5年度 我が国におけるこどもをめぐる状況及び政府が講じたこども施策の実施状況 第1部第1章」(令和6年版こども白書)

調査結果によると、2022年における小・中学校の不登校児童・生徒数は最多。

1.7%の小学生、約6%の中学生が学校に通っていない状況だとわかります。

また、高校生については2%近くの生徒が学校に通えていません。

読者の方の中には1993〜1995年頃に児童・生徒だった人も多いと思われます。この頃は不登校の小学生は1%に満たない割合でした。また、中学校における不登校の生徒の割合も2022年(約6%)の約3分の1程度です。

こうしたギャップからも「学校に行けない子どもはあまりいない」と先入観を抱きがちですが、決してそういうわけではありません。

注目すべきなのは、いつの時代においても、中学生で不登校になる子どもは小学生・高校生より多い傾向にあるということです。

中学生は子どもでありながらも大人のような一面もあわせもっている複雑な年頃。周囲のことをよく理解できる年頃なので、社会におけるさまざまなことを知る中で絶望感を抱くこともあります。

そして、周囲と自分を比べて、コンプレックスを自覚しがちな時期といえるでしょう。さらに、大人であれば控えるような発言や言動で他者を傷つけることもあります。

こうしたことからも、学校内でのトラブルは少なくなく「学校に行きづらい」と思う生徒が後を絶たないのかもしれませんね。

次の章では、学校以外の居場所について深堀りしていきましょう。

1.1 子どもの居場所は学校以外にも必要?「居場所」を求める子どもたち

前述のこども家庭庁が公表した調査結果では、子どもたちが居場所を求めているかや居場所を持っているかどうかも明らかにされています。

「家(普段寝起きをしている場所)や学校(授業や部活、クラブ活動)以外に「ここに居たい」と感じる居場所がほしい」と回答した人は全体の79.9%におよびました。

子どもにとって多くの時間を過ごす学校は世界のすべてになりがちですが、そのようなことは決してありません。

学校に友人がいない児童・生徒であっても、気の合う友だちが別のコミュニティには多くいる人もいます。このため、周囲の大人が世界を広げてあげることで、救われる子どもがいると思います。

また「家(普段寝起きをしている場所)や学校(授業や部活、クラブ活動)以外に、「ここに居たい」と感じる居場所」については、居場所を求めつつも「ない」と回答した人が1割程度いました。

求めているのにも関わらず居場所がないと自覚している状況はとても寂しく、つらいものだと察します。

大人であれば習い事をはじめたり、SNSにアクセスしたりと、自力で人の中に入っていくこともできると思います。

しかし、保護下にあり、経済的に自立していない子どもが独力で居場所をつくるのには限界があるでしょう。

また、さみしさを抱えた子どもが居場所を単独で模索していると、事件に巻き込まれる可能性もあるので注意が必要です。

次の章では、学校以外の居場所について深堀りしていきましょう。

2. 不登校になった子どもにできることは?

ここでは、親が学校に行けない我が子のためにできることを紹介します。

2.1 子どもが不登校になった理由を把握する

まずは、我が子が学校に行けなくなったのに何か理由はあるのか、寄り添ってみましょう。

参考までに、文部科学省「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」から「最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ」を見ていきましょう。

【不登校】最初に学校に行きづらいと思ったきっかけ(小学校)3/5

【不登校】最初に学校に行きづらいと思ったきっかけ(小学校)

出所:文部科学省「不登校児童生徒の実態把握に関する 調査報告書」

小学生でもっとも多いのは「先生のこと(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど)」でした。

教師との相性は円満な学校生活を送る上での鍵の一つになると思います。

続いて「身体の不調(学校に行こうとするとおなかが痛くなったなど)」が多くの回答を集めました。また、友人関係や勉強に関する悩みがきっかけの児童も多いことがわかります。

【不登校】最初に学校に行きづらいと思ったきっかけ(中学校)4/5

【不登校】最初に学校に行きづらいと思ったきっかけ(中学校)

出所:文部科学省「不登校児童生徒の実態把握に関する 調査報告書」

中学生については「身体の不調(学校に行こうとするとおなかが痛くなったなど)」がもっとも多くの回答を集めました。

身体と心はつながっているため「学校に行きたくない」という思いが身体の不調に表れることも多いのかもしれません。

さらに、不登校の中学生のうち3割近くが「先生のこと(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど)」がきっかけで学校に行きづらくなったと回答しています。

ただし、上記の調査結果は一例です。この調査結果にとらわれず我が子のケースを把握してあげるようにしてください。

2.2 子どもの居場所をつくる

周囲の大人が学校の代わりになる居場所を一緒に探してあげることも大切です。

例えば、その1つにフリースクールがあります。フリースクールでは教科はもちろん、それぞれが関心をもっている分野も学べることがあります。

フリースクールによっては月1〜4回の登校日数で、負担を抑えて通うことも可能です。

フリースクールに通うことが難しい場合でも、習い事や塾、サークルなどには参加できるケースもあります。

ちなみに、最近は「推し活」つながりで居場所を得ている若年層も少なくないようです。

次の章では、参考としてこども家庭庁に関するデータを見ていきましょう。

3. 【参考】こども家庭庁の取り組み「不登校対策COCOLOプラン」を紹介

こども家庭庁が公表した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によると、教育に関する課題に対して様々な取り組みを行っているとのことです。

今回は、そのなかでも「不登校対策COCOLOプラン」についてご紹介します。

3.1 【引用】こども家庭庁「不登校対策COCOLOプラン」の概要

不登校対策COCOLOプラン関係(122.2億円(86億円)※内数を除く)

①不登校の児童生徒全ての学びの場などを確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整えます。

  • 学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置促進:3億円(1億円)
  • 校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム)の設置促進:5億円(新規)
  • 教育支援センターのオンライン体制・アウトリーチ機能の強化:8億円(新規)
  • 多様な学びの場、居場所の確保等
    ・こどもの居場所づくりの支援体制強化(こども家庭庁:3.7億円+事項要求(新規))含む

②心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援します。

  • 1人1台端末を活用した心や体調の変化の早期発見 (再掲)
  • 「チーム学校」による早期支援を推進
    ・こどもデータ連携実証事業(こども家庭庁:3.5億円(新規))含む
  • 一人で悩みを抱えこまないよう保護者を支援
    ・SC・SSWの配置(再掲)等

③学校の風土の「見える化」を通して、学校を「みんなが安心して学べる」場所にします。

  • 学校で過ごす時間の中で最も長い「授業」を改善(子供たちの特性に合った柔軟な学びを実現) 等
  • 快適で温かみのある学校としての環境整備

出所:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(いじめ関連部分抜粋版)」

4. まとめにかえて

全国的に見ると不登校の児童・生徒は珍しくありません。しかし、地域や学校単位で見ると少ないことも多く、親御さんによっては「うちの子だけが不登校」「他の子は学校に行っているのに」と思うこともあるでしょう。

我が子が不登校になった場合、「特別」なこととしてとらえるのではなく、現状を把握することが大切です。

不登校が将来のキャリアに直接影響したり、就活で不利になったりするとは一概に言い切れないので、じっくり時間をかけて向き合ってみてくださいね。

参考資料

西田 梨紗