あなたにピッタリの不動産ポートフォリオとは?
一物件買うとすぐに次の物件も欲しくなる・・・。そういう方が多いようです。
そういう方に今後の投資戦略を伺うと、「以前利回り重視で買った築古物件がイイ感じなので、次も同じ感じの物件を探します!」とのこと。
一度成功している方法なので、再度その方法を用いるのは一見正しいようにも思います。けれど、果たしてあなたの不動産経営はそれでうまくいくのでしょうか?
当たり前のことですが、不動産投資は物件を買うだけではありません。
空室を埋め、物件の修繕をし、利益が出れば納税する。それに加えて、その時の自身・物件の状況に合わせて物件を増やしたり、減らしたり、入れ替えていくことが必要になってきます。
つまり、その時の状況に合わせて物件のポートフォリオを組むことが必要です。
金融資産についてのポートフォリオはわかるけど、不動産投資でのポートフォリオ? そんなに種類ある?と思われるかもしれませんが、あるんです。
今回は不動産投資における4つの物件タイプについてご説明します。
どんな条件で物件のタイプが異なるのか?
ポートフォリオを作る際の物件のタイプとしては、おおよそ4タイプに分かれます。
- バランス型
- 短期インカム型
- 短期キャピタル型
- 節税効果型
これらのタイプは物件の「築年数」と「土地建物の比率≒立地」でざっくり分けられます。
もちろん、金融機関から融資を受ける場合の借入条件(金額・年数・金利)等、さまざまな要素により変わってくるのですが、キャッシュフローに大きな影響を与えるのが「築年数」と「土地と建物の割合」です。
以前の記事でもお伝えしましたが、たとえば地方物件など土地の金額が低く、建物の金額が高い場合、毎年の所得税は低くなる傾向があります。それは、所得税を計算する際の「減価償却費」が多くなるためです。
「減価償却費」は税金を計算する(損益計算)際の考え方ですが、物件を取得した時から経年とともに減る資産価値を経費として計上するもので、実際のお金の支出は伴いません。
建物の金額が大きければ大きいほど毎年の「減価償却費」も大きくなり、所得税も低くなり税引き後キャッシュフローは多くなります。
では、建物の金額が極端に大きければ良いのかというとそうではなく、将来その物件を売却する際の税金がはね上がり、税金の支払いに苦労する可能性があります。
物件を売却する時の税金は、単純に言うと「売却金額-簿価」で出た利益に掛かります。
「簿価」とは物件のその時点での帳簿上の価値のこと。減価償却費を大きく取り過ぎると、物件の簿価はどんどん減ります。簿価が低くなった状態で売却すると、利益も税金も大きくなってしまうのです。
このように、ご自分の戦略や状況に合わせ、購入物件のタイプを考える必要があります。
キャピタル狙い? インカム狙い?
物件のタイプは大まかに言うとキャピタル狙いか、インカム狙いか、間を取っていくかになります。ざっくりとそれぞれのタイプを説明します。
<バランス型>
長期保有向きの物件。典型例は都市部の中古RC。都市部なので土地建物比率における土地の価格が高く、減価償却での簿価の下がり方が緩やかであり、キャッシュフローもそこそこ見込める。長く持っていても税金が税引き前キャッシュフローを上回るデットクロスが来るのが遅い。
<短期インカム型>
短期転売向きの物件。典型例は地方の中古RC。土地建物比率の建物が高めであり、前半は減価償却のおかげで税金があまりかからずキャッシュフローが高いが簿価の減りも早く、売却時の税金が高くなる傾向にあるため、ある程度キャッシュフローを取り切ったら早めの売却が必要になる。
<短期キャピタル型>
短期転売向きの物件。典型例は都市部の新築or築浅物件。都市部のため、土地建物比率は土地が高く簿価の減りは遅いので売却時の税金があまりかからず、また、売値があまり下がらず出口を取りやすい。反面、毎年のキャッシュフローはあまり見込めない傾向にある。
<節税効果型>
現状、利益が多く、税負担が重い場合等に利益圧縮を図るための物件。典型的な例は地方の築古RCや区分マンション。土地建物比率でいうと建物がかなり高めなので減価償却を一気に取れ、税引き後キャッシュフローの増加が見込める。反面、売却時の税金に注意が必要。
自分の必勝ポートフォリオを考えよう!
4タイプをざっくりお話しましたが、これらの組み合わせ次第でご自身のバランスシートを整えることが可能です。また、ポートフォリオを意識することで次に購入するべき物件、入れ替えるべき物件の狙いも明確になります。
ご自身の投資の狙いをよく考え、ポートフォリオを描くことで専業大家への明るい未来も見えるでしょう。
不動産投資自体は出口が見える、戦略的な事業です。投資家の皆さんに知識と考える力を持っていただければ、世の中の悪徳業者は減り、皆さんも利益を得ることができると確信しています。
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以上、村上俊介でした。