4. 繰下げ受給のデメリットや注意点
70歳まで働くことで収入と年金額は増えますが、その分、税金や社会保険料の負担が増加します。
年金の受給開始を遅らせることで、短期的な生活資金に困ることも考えられます。
また、年齢を重ねるとともに体力や健康状態が変化するため、長時間労働やストレスが健康に悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。
長生きすれば繰下げ受給の方が有利になりますが、受給開始後まもなく亡くなるようなケースでは、結果的に損をすることになってしまいます。
例えば、65歳から月20万円ずつ、80歳まで受給した場合、受給額は3600万円です。一方、70歳まで受給開始年齢を繰下げ、月28万4000円ずつ、80歳まで受給した場合の受給額は3408万円となります。
年金の受給額という点では、80歳以降も長生きしないと結果的に損をすることがわかります。
そのため、必ずしも繰下げ受給という方法にこだわらず、慎重に判断することが大切です。
5. 総合的な視点で判断を
70歳まで働くことには、年金受給額の増加という大きなメリットがあります。
しかし、その一方で税金や社会保険料の負担増加、健康リスクなどのデメリットもあります。
繰下げ受給を選択する際には、自身の健康状態やライフプランを十分に考慮し、家族や専門家と相談することが重要です。
最適な選択をするためには、精神面や体力面、社会とのつながりといった経済的な側面以外にも目を向け、総合的な視点で判断しましょう。
参考資料
加藤 聖人