物価上昇の影響が続くなか、「生活が厳しい」と感じている高齢者も増えています。
特に夏場はエアコンの使用頻度が高まり、光熱費がかさむことで家計に大きな負担がかかることもあるでしょう。
こうした状況を受けて、政府は7月から9月の3か月間にわたり、夏の電力需要に対応するため、電気・ガス料金の支援策を講じる方針を発表しました。
本記事では、この夏に実施される「電気・ガス料金支援」の内容について詳しく解説します。
リタイア世帯の「1ヶ月の家計収支」についても紹介しているので、あわせて参考にしてください。
1. 7月〜9月使用分まで「電気・ガス料金支援」が実施される!
円安や物価の上昇が続く中、今年の夏も例年にない猛暑が見込まれており、エアコン使用による光熱費の上昇を懸念する声が多く寄せられています。
そこで政府は、猛暑対策として即効性の高い支援策を講じるべく、7月から「電気・ガス料金」に対する支援を開始することを明らかにしました。
今回の支援策は、7月から9月までの3か月間に限定されており、この期間中の電気・ガスの使用分が対象となります。
なお、電気や都市ガスを利用する家庭や事業者に対しては、特別な申請手続きは必要ありません。
小売事業者が利用量に応じた割引を行い、毎月の請求額から自動的に差し引かれる仕組みとなっています。
さらに、厳しい暑さが見込まれる夏を安全に過ごせるよう、一部の自治体では高齢者を対象に「エアコン設置費用の補助」を行っているところもあります。
1.1 高齢者世帯を対象に「エアコン購入補助」を導入している自治体も
近年の物価高騰により、経済的な事情からエアコンの設置が難しい高齢者の自宅では、熱中症リスクが高まっていることが問題視されています。
こうした状況を踏まえ、自治体によってはエアコン設置費用を補助する制度が用意されています。
たとえば名古屋市では、住民税非課税世帯などを対象に、エアコンの購入および設置工事、さらに既存エアコンの修理費用についても、上限9万2000円まで助成する支援が行われています。
なお、このようなエアコン購入補助制度は自治体ごとに内容が異なり、実施の有無や助成の上限額、対象となる条件などもさまざまです。
気になる方は、お住まいの自治体の公式ホームページや窓口で詳細を確認することをおすすめします。
ここまで、夏の猛暑に備えた国や自治体の支援策について紹介しましたが、実際のところ、多くの高齢者世帯は日々の生活そのものに大きな負担を感じているのが現実です。
実際に、厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金収入だけで生活している世帯は全体のうち41.7%にとどまっています。
これは、年金だけでは安定した暮らしを続けるのが難しい世帯が一定数存在していることを示しています。
次章では、こうした実情を踏まえ、リタイア後のシニアの生活がどのような状況にあるのか、「リタイア世帯の家計収支」のデータをもとに詳しく見ていきましょう。