「老後資金をどれくらい準備すればいいでしょうか?」
こう聞かれて、皆さんはどう答えますか?2000万円問題が少し前に話題となりました。しかし、いまでは年金不安や物価高などにより「2000万円では足りない」という声が大きくなっています。
「シニア層」と聞くとお金をたくさん持っているイメージが強いかもしれません。実際はどうなのでしょうか。
筆者が資産運用の相談を受けていたシニア層の中には、「ゆとりのある裕福な暮らしをしている方」はたくさんいます。
貯蓄3000万円を超える世帯も存在し、いかにも悠々自適な生活をされているお話を伺ったこともあります。しかし、ほとんどの70歳代の方がそうかといえば、必ずしもそうではありません。どちらかというと非常に格差が激しい年代のようにも感じます。
今回は、そんな「日本のシニア世代」の中から、「70歳代」をピックアップして、「貯蓄2000万円超の世帯」がどれくらいいるのかにスポットを当ててみたいと思います。
1. 【70歳代・二人以上世帯】「貯蓄2000万円以上」を保有する世帯は何パーセント?
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」より、70歳代・二人以上世帯の貯蓄事情を確認します(金融資産を保有していない世帯を含む)。
1.1 【70歳代・二人以上世帯】の貯蓄2000万円の割合
- 27.1%
1.2 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値
- 平均:1757万円
- 中央値:700万円
1.3 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表】(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
70歳代・二人以上世帯で「貯蓄2000万円以上」を保有する世帯は27.1%でした。
平均貯蓄額は1757万円ですが、より実態を反映すると考えられている中央値は700万円です。
すでに貯蓄の取り崩しが進行している世帯もあると思いますが、貯蓄額が2000万円に満たない世帯が7割以上を占めています。
冒頭で申し上げたとおり「老後は2000万円では足りない」といった声がありますが、老後までに貯蓄2000万円を準備することは容易ではないようです。
老後は、公的年金が収入の柱となるのが一般的ですが、年金だけで毎月の生活費をカバーできるのでしょうか。