2024年7月3日、公的年金制度が将来にわたって持続可能かどうかを検証する「財政検証」の結果が公表されました。
財政検証は5年に1度実施されており、いわゆる「公的年金の健康診断」とも言われていますが、今回の財政検証ではどのようなことが明らかになったのでしょうか。
本記事では、2024年の財政検証で公表された内容の中で、特に知っておきたい「将来の年金水準」について紹介していきます。
「将来の年金水準」とともに、「現在の年金受給額」についても解説しているので、あわせて参考にしてください。
1. 33年後の年金水準が2割ほど減少する見込みに
2024年に実施された5年に1度の「財政検証」では、現役世代の平均的な手取り額と比較した年金水準が、約30年後には今よりも2割ほど減少する見通しであることが明らかになりました。
現役世代の手取り額と比較して、年金世代の受給額がどのくらいの割合になるかを「所得代替率」と呼び、政府はこの割合を「50%以上に保つこと」を約束しています。
今回の財政検証において、標準的な経済成長を想定した場合、2057年(33年後)の所得代替率は50.4%になると予測しています。
上記の予測値は、現在の61.2%よりも約2割の低下となりますが、50%以上の維持はできる見込みです。
- 現在65歳:61.2%
- 33年後(現在30歳の人が65歳に):50.4%(約2割減)
なお、経済成長が良好な場合は56.9〜57.6%は確保できると公表しています。
5年前の財政検証では、所得代替率が「45%前後まで低下する」と予測していたことから、今回の結果は改善傾向に向かっていることがみてとれます。
では、今回の財政検証で所得代替率が改善傾向となった背景には何があるのでしょうか。
次章にて詳しく見ていきましょう。