3.2 【国民年金の平均月額】
- 全体:5万6316円
- 男性:5万8798円
- 女性:5万4426円
国民年金は保険料が一律であるため、受給額の個人差は比較的小さいです。
しかし、平均月額は約5万円程度と、生活を支えるには十分とは言えない金額となっています。
一方、厚生年金は加入者の年収に応じて保険料が変動するため、受給額に個人差が生じます。
厚生年金は国民年金に「上乗せして受給」されるため、一般的に国民年金のみよりも受給額が高い傾向にありますが、厚生年金においても平均月額は約14万円程度であり、現役時代の収入と比較すると大幅に減少します。
さらに、将来的にはこの金額がさらに減少する可能性が高いと予測されており、年金だけでの生活はより厳しくなると考えられます。
こうした状況を踏まえると、安定した老後生活を送るためには、「年金だけに頼らない資金準備」がますます重要になってくると言えるでしょう。
4. 国民年金の納付期間延長は見送りに
本記事では、2024年の財政検証で公表された内容の中で、特に知っておきたい「将来の年金水準」について紹介していきました。
今回の財政検証では、約30年後の所得代替率は50%以上を維持できる見込みとなっており、前回の財政検証よりも改善傾向に向かっていることがわかりました。
この改善を受け、以前より検討されていた「国民年金の納付期間延長」は見送る方針としたことを公表しています。
今回の財政検証で納付期間が5年間延長されていた場合、単純計算で「約100万円」もの負担が増えることになっていたため、これは嬉しい知らせと言えるでしょう。
とはいえ、今回発表された33年後の所得代替率は現状よりも2割減っており、今後の経済状況によってはさらに悪化する可能性があります。
その場合、再度「国民年金の納付期間の延長」が議論される可能性もあるため、留意しておく必要があります。
年金はご自身の将来の生活に直結する問題のため、しっかりとアンテナをはって、最新情報を確認しておけると良いでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証結果の概要」
- 厚生労働省「[年金制度の仕組みと考え方]第5 平成16年改正年金財政フレームと財政検証」
- 厚生労働省「社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
和田 直子