6. 現在の年金の平均受給額はいくらか
では、現状の年金の平均受給額はいくらなのでしょうか。厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、受給額を見てみましょう。
6.1 国民年金
- 男子の平均年金月額:5万8798円
- 女子の平均年金月額:5万4426円
- 全体平均:5万6316円
6.2 厚生年金(基礎年金含む)
- 男子の平均年金月額:16万3875円
- 女子の平均年金月額:10万4878円
- 全体平均:14万3973円
国民年金の平均受給額は5万6316円、基礎年金を含む厚生年金の平均受給額は14万3973円でした。
国民年金は男女で大きな差はありませんが、厚生年金は男女の平均額で約6万円の差が発生しています。
厚生年金の受給額には、働き方やライフイベントによる退職の有無などの影響が顕著であるといえるでしょう。
今後社会保険の適用が拡大されれば、平均受給額は増えていくことが予想されます。
とはいえ、年金で所得をすべて代替できるわけではありません。
公的年金のみで老後を迎えるのは、リスキーといえるでしょう。
7. まとめにかえて
年金の財政検証では、現役時代の所得の約半分が年金で賄われることや年金水準が守られることが公表されました。
「相応の年金をもらえそう」と安心した人も多いのではないでしょうか。
一方で、試算の過程や結果から、賃金の伸びが物価を上回ることの重要性を強く思い知らされることにもなりました。
年金は賃金や物価によって改定しているため、経済情勢がダイレクトに影響します。
今後も賃金や物価が年金に与える影響を注視していく必要があるでしょう。
そして、今後は公的年金に頼らない資産づくりも重要です。
iDeCoや企業年金の拡充に期待しつつ、年金以外の資産づくりも今から始めておくとよいでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しー2019(令和元)年財政検証結果 ー」
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証結果の概要」
- 厚生労働省「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しー令和6(2024)年財政検証結果 ー」
- 日本年金機構「マクロ経済スライド」
- 厚生労働省「社会保障審議会年金部会(第16回)議事次第」
- 厚生労働省「令和6(2024)年財政検証関連資料①」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大ガイドブック」
- 厚生労働省「iDeCoに加入できる年齢の要件などが拡大されます」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
石上 ユウキ