4. 【年金額増への取り組み①】パート勤務でも「週20時間以上勤務」で社会保険加入へ

政府は社会保険の適用拡大を進めており、2024年10月からは従業員51人以上の企業に、社会保険が適用されます。

新たに加入対象となるのは、以下の条件を満たすパートやアルバイトの人です。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が8万8000円以上
  • 2ヶ月を超えて雇用の見込みがある
  • 学生でない

社会保険に加入すると厚生年金の保険料納付が始まります。

10年間保険料を納めれば、年金の受給権を得られます。

年金原資となる保険料収入の増加が見込まれるうえ、年金額の上乗せを実現できるため、政府は今後も社会保険の適用事業所拡大を目指すと考えられます。

5. 【年金額増への取り組み②】国民年金保険料の納付期間5年延長

年金額増への取り組みとして「国民年金保険料の納付期間5年延長」案が考えられていました。

実際に、2024年の財政検証でも納付期間を40年から45年に延長した際の所得代替率などが試算されていました。試算結果は、以下のとおりです。

  • 実質経済成長率1.1%:所得代替率64.7%(+7.1%)
  • 実質経済成長率▲0.1%:所得代替率57.3%(+6.9%)

所得代替率が大きく増え、年金受給額の増加が期待できる結果でした。

しかし、現役世代の負担増による反発を考慮し、7月3日の社会保障審議会前に案を撤回、納付期間の延長審議は見送られました。

そこで、現在はiDeCoや企業年金の拡充を図っています。

2022年にはiDeCoの加入年齢が60歳から65歳までに延長されたり、iDeCoと企業年金の一つである「企業型DC」の併用が認められたりしています。

2024年10月からは、確定給付型の年金制度に加入する際のiDeCoの掛金限度額が、1万2000円から2万円に引き上げられる予定です。

企業型DC、確定給付型年金との併用がよりしやすくなり「自分で年金を備える仕組み」がさらに充実します。

私的年金の制度整備により年金での所得代替率100%を目指し、安心して過ごせる老後の社会を目指すと考えられます。