投資信託を選ぶ際の1つの基準として、「コストが低いこと」が挙げられます。投資期間が長いほど運用コストの負担が大きくなるので、なるべくコストが低い商品を選ぶことが大切です。

しかし、投資信託の取引にかかるコストはさまざまで、中には「隠れコスト」と呼ばれる非常にわかりづらいものもあります。

今回は、「隠れコスト」とは何なのかを含めて、後悔しない投資信託の選び方を3つご紹介します。

夏休みに投資信託の購入を検討している方は、本記事を参考に、自分に合った商品を絞り込んでみてはいかがでしょうか。

1. 「新NISA」で購入できる投資信託とは

新NISAの非課税投資枠には「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあり、それぞれ投資対象となる金融商品が異なります。

つみたて投資枠と成長投資枠の特徴1/3

【一覧表】つみたて投資枠と成長投資枠の特徴

出所:金融庁「NISAを知る」

各投資枠の投資対象商品について確認しましょう。

1.1 【新NISA】つみたて投資枠の対象商品

つみたて投資枠で購入できる金融商品は、金融庁が定める要件を満たす投資信託に限定されています。

具体的には、販売手数料がゼロ(ノーロード)であることや、信託報酬が一定水準以下であることなど、「長期・積立・分散」という考え方に適した商品のみが選定されています。

2024年6月7日時点では293本の公募株式投資信託または上場株式投資信託(ETF)が対象となっており、取扱本数は金融機関によって異なります。

1.2 【新NISA】成長投資枠の対象商品

成長投資枠は、株式や投資信託などの幅広い金融商品に投資できます。

投資信託に関しては、つみたて投資枠では購入できない商品にも投資することができ、金融機関によっては1000本以上の取り扱いがあります。

信託期間が20年未満の投資信託や毎月分配型の投資信託などは対象外となり、投資信託協会の「NISA成長投資枠対象商品リスト」に記載されているファンドが対象となります。

では、多くの投資信託の中から魅力的な商品を選ぶには、どのようにしたらよいのでしょうか。

次章にて、後悔しない投資信託の選び方を3つご紹介します。

2. 後悔しない投資信託の選び方3選

後悔しない投資信託の選び方として、以下の3つについて解説します。

  • 「隠れコスト」を確認する
  • 過去の運用実績を確認する
  • 同じベンチマークの商品を比較する

2.1 投資信託の選び方1. 「隠れコスト」を確認する

新NISAの買付対象となっている投資信託は「購入時手数料」がかかりませんが、「信託報酬」や「信託財産留保額」といったコストが発生します。

投資信託の主な費用2/3

投資信託の主な費用一覧

出所:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」

このようなコストは目論見書などに明記されているので、投資信託の取引をしたことがある人ならご存知だと思います。

では、目論見書には具体的な数値が記載されていない「隠れコスト」と呼ばれるコストについてはご存知でしょうか。

投資信託の目論見書には、購入時手数料や信託報酬、信託財産留保額などの費用に加え、「その他の費用・手数料」といった記載があります。「その他の費用・手数料」には、以下のような費用が含まれています。

・監査法人に支払われるファンドの監査費用
・有価証券等の売買時に取引した証券会社等に支払われる手数料
・有価証券等を海外で保管する場合、海外の保管機関に支払われる費用
・マザーファンドの換金に伴う信託財産留保額
・その他信託事務の処理にかかる諸費用 等

これらのコストは運用後に確定するコストのため、運用会社が作成する「運用報告書」にて確認する必要があります。

一見すると保有コストが低い商品でも、実際の運用にかかるコストが高くなるケースもあるので、信託報酬や信託財産留保額と合わせた実質コストを把握しておきましょう。

2.2 投資信託の選び方2. 過去の運用実績を確認する

過去の運用実績を確認する3/3

運用実績のグラフ

Artistdesign.13/shutterstock.com

投資信託を選ぶ上で、過去の運用実績を確認することは非常に重要です。

過去の運用実績は、運用会社や販売会社のWebサイト上にある「月次報告書」などで確認することができます。

一般的には、1カ月・6カ月といった短期間の実績から、1年・3年・5年・10年といった比較的長期間の実績までを確認できます。

この際、投資信託の実力を図るには、なるべく長期間の運用実績を参考にすることが大切です。

相場環境が良好な場合や、一部の組入銘柄の上昇が大きく影響している場合など、一時的に大きなリターンを上げている商品もあります。

大きな騰落率に目がいきがちですが、短期的なリターンだけで考えず、長期的な基準価額の推移も参考にしましょう。

2.3 投資信託の選び方3. 同じベンチマークの商品を比較する

ベンチマークとは、投資信託の運用の目安として採用する指数のことです。

投資先が似ている投資信託は、同じ指数をベンチマークとして採用する傾向にあります。

例えば、人気の投資対象である「全世界株式」の場合、「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」や「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」といった指数をベンチマークとしています。

ここで注意したいポイントは、ベンチマークが同じでも、投資信託によって商品の特性・特徴は異なるということです。

投資してみたい商品を見つけたら、同じベンチマークの商品をいくつかピックアップし、保有コストや運用実績、組入銘柄の比率などを比較してみましょう。

3. 新NISA選びのまとめ:自分に合った「お気に入り」の商品を

今回ご紹介したポイントを押さえて投資信託を絞り込んでいけば、「やっぱり他の商品を選べば良かった」と後悔する可能性が少なくなるはずです。

今は、大手ネット証券などの投資信託サーチツールが非常に使いやすくなっているので、商品の絞り込みや比較が容易に行えます。

ご自身のリスク許容度や投資方針に合わせて、長く保有したいと思えるお気に入りの商品を選択しましょう。

【編集部よりご参考】

毎月の拠出額は、余裕資金の中からやりくりできる範囲で設定しないと継続が難しくなります。

参考までに、40歳代~50歳代の単身世帯が「手取り収入から貯蓄に回す割合」をご紹介します。

【年間手取り収入からの貯蓄割合(40歳代)】

  • 平均:14%
  • 5%未満:3.1%
  • 5〜10%未満:8.8%
  • 10〜15%未満:13.5%
  • 15〜20%未満:6.2%
  • 20〜25%未満:11.9%
  • 25〜30%未満:1.6%
  • 30〜35%未満:7.3%
  • 35%以上:12.4%
  • 貯蓄しなかった:35.2%

【年間手取り収入からの貯蓄割合(50歳)】

  • 平均:14%
  • 5%未満:5.8%
  • 5〜10%未満:10.6%
  • 10〜15%未満:14.2%
  • 15〜20%未満:4.4%
  • 20〜25%未満:8%
  • 25〜30%未満:3.1%
  • 30〜35%未満:7.1%
  • 35%以上:11.9%
  • 貯蓄しなかった:35%

参考資料

加藤 聖人