2024年6月14日から受け取る年金から改定がありました。条件を満たしている場合は国民年金・厚生年金の合計年金受給額が2.7%増となりました。

記事を読んでいるのは現役世代の方が多いと思いますが、実際どのくらい年金を受け取ることができれば、「多いのか・少ないのか」を想像するのは難しいと思います。

そこで本記事では、改めて年金制度のおさらいから、年金支給額が実際に60万円に達する可能性や、高額受給者の存在について検証していきます。

1. 「厚生年金・国民年金」の平均受給額からおさらい

まずは、厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金と国民年金の平均受給額を確認していきましょう。

1.1 【国民年金】

【写真1枚/全4枚】国民年金の平均額(全年齢)/以降では厚生年金の平均受給額や年金の高額受給者の割合を検証

国民年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 男女全体平均月額:5万6316円
  • 男性平均月額:5万8798円
  • 女性平均月額:5万4426円

1.2 【厚生年金】

厚生年金の平均額(全年齢)

厚生年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 男女全体平均月額:14万3973円
  • 男性平均月額:16万3875円
  • 女性平均月額:10万4878円

厚生年金と国民年金の平均受給額は、それぞれ全体で月14万3973円、月5万6316円です。

これらの数値を基に年金収入を考えると、約60万円の年金を受給する人がいるというのは、一般的には考えにくいことです。

まず、厚生年金の受給額は、その人の収入や保険料納付期間に大きく依存します。

平均の約14万円は、様々な収入層や納付期間を反映していますが、非常に高収入のまま長期間保険料を納めてきた人であれば、月額30万円以上を受給するケースも存在するかもしれません。

一方、国民年金の平均受給額5万6316円は、主に自営業者や非正規雇用者など、厚生年金に加入していない人々の年金額です。

納付期間が満たされている場合でも、2024年度の満額が6万8000円です。これを踏まえると、国民年金のみで60万円に達することは不可能ですね。

仮に厚生年金と国民年金を合わせて受給しているケースを考えても、合計で60万円になるのは稀なケースです。

次章では、厚生労働省の資料を基に「本当に年金を約60万円支給される人がいるのか?」についてさらに詳細に探ります。