5. 物価高では給付金に頼らない資産形成も重要
たびたび行われる給付金に対し、「羨ましい」という声があがることもあります。
節税という視点は確かに大切で、住民税非課税世帯になって支払う税金を抑えるのも1つなのかもしれません。
しかし長期的な視野を持つと、例えば老後資金を確保するにあたっては、根本的な解決には繋がっていません。
では老後資金を確保するためにどのような選択肢が考えられるでしょうか。
1つは資産運用を取り入れることだと考えられます。
低金利の日本において現預金だけに頼るのは現実的ではありません。お金にはたらいてもらってお金がお金を増やしてくれる環境を作ってあげることが、老後資金の確保に繋がるのではないでしょうか。
資産運用を取り入れるにあたって、運用の世界においても非課税制度があるのはご存知でしょうか。今話題の新NISAやiDeCoなどは投資して増えたお金が非課税になる国の制度です。
このように国としても自助努力で老後資金を確保することを後押ししているといえます。
しかし運用にはリスクが伴いますので投資商品選びは慎重におこなうべきです。人気だからという理由で簡単にはじめるのではなく自分自身のリスク許容度や投資する金額、期間などに合わせて運用商品を選定するべきです。
6. 申請手続きを忘れずに
本記事では2023年度と2024年度における「住民税非課税世帯の現金給付」について、概要や必要な手続きなどを確認してきました。
一部の世帯においては、手続きが必要となる可能性があります。
該当すると思われる方は、お住まいの自治体ホームページで今一度詳細を確認してみましょう。
6.1 参考:住民税非課税世帯の割合(年代別)
記事内で老後資金に向けた資産形成に触れましたが、そもそも「住民税非課税世帯」は現役を退いた高齢世帯が多くを占めているものです。
参考までに、年代別の割合を最後に確認しておきます。
厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」によると、年代別の住民税非課税世帯の割合(全世帯に占める住民税非課税世帯の割合)は以下通りとなりました。
- 30歳代:9.2%
- 40歳代:9.2%
- 50歳代:11.3%
- 60歳代:19.2%
- 70歳代:34.9%
- 80歳代:44.7%
- 65歳以上:35.0%
- 75歳以上:42.5%
年代が上がるごとに住民税非課税世帯の割合が増えており、70~79歳が占める割合は37%、80歳以上が占める割合は29%です。
高齢者の主な収入源は公的年金ですが、年金収入だけでは生活が厳しい様子がうかがえます。
参考資料
- 東京都主税局「6 個人住民税の非課税」
- 横浜市「令和5年度 住民税非課税世帯への緊急支援給付金【7万円】の申請手続き 」
- 厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」
- 東京都主税局「個人住民税」
堀江 啓介