この現象は、“たばこ税引き上げに伴う値上げ”でほぼ説明できると言えましょう。過去、たばこ税は何回かにわたって引き上げられてきましたが、その全てが販売価格に転嫁されてきたと考えられます。
たとえば、1980年に1箱(20本入り)180円だった「マイルドセブン」は、その後に「メビウス」へブランド名が刷新されましたが、現在は430円で販売されています。
ちなみに、販売本数がピークだった1996年は1箱220円、販売金額がピークだった1999年は250円でしたから、この約20年間で尋常でない値上げが実施されたことになります。
度重なる値上げにも屈しない喫煙者の強い嗜好を垣間見る
この“たばこ税の引き上げ”、つまりは、たばこの販売価格の値上げに注目すると、値上げに伴ってやむなく禁煙する人、禁煙せざるを得ない人、あるいは、喫煙量を減らす人が増えたことは容易に推察できます。
その一方で、値上げにもかかわらず喫煙を維持する人も一定割合いると判断できます。タバコを嗜む人にとっては、禁煙推進活動よりも、経済的事情のほうが影響した可能性が高いと言えるかもしれません。
“新型たばこ”市場が急拡大の兆候、健康への影響は?
たばこ販売に関してもう一つ注目すべきは、直近の2年間で減少ペースに拍車がかかっていることです。販売数量では2016年が▲8%減、2017年は▲13%減、販売金額ベースでは2016年が▲7%減、2017年が▲13%減となっています(いずれも対前年比の増減率)。
この理由としては、禁煙啓蒙活動の浸透効果や、一部の銘柄の値上げ実施などが指摘されます。しかし、それ以上に「加熱式たばこ」や「電子たばこ」の人気が急速に高まったことが挙げられましょう。
これら“新型たばこ”に関しては、健康に対するリスクの有無について世界中で様々な議論が行われています。仮に、従来の“紙たばこ”から“新型たばこ”へシフトが加速しても、健康への影響が軽減されなければ無意味です。
今年の世界禁煙デーは、例年とは違った観点で、タバコについて考えてみるのもいいかもしれません。
LIMO編集部