6月から始まった定額減税では、1人あたり4万円が減税されています。

6月の給与明細で税額が減っているのを見て、減税を実感した人も多いでしょう。

また、定額減税で引ききれない分がある場合には調整給付金が支給されます。なかには、既に書類の発送や支給をしている自治体もあるようです。

定額減税や調整給付金は年金世帯でも実施されます。

現役時代よりも収入が減る分「調整給付金の対象になるのでは?」と思っている人もいるはず。

この記事では、年金受給者が受け取れる調整給付金について解説します。後半では、調整給付金の申請や締切などについても解説します。

1. 定額減税と調整給付金の概要

まずは定額減税と調整給付金の概要について、おさらいしましょう。

【写真1枚目/全3枚】定額減税の概要/次ページ以降で【年金収入の金額別】調整給付金の目安額を一覧表で紹介1/3

定額減税の概要

出所:国税庁「定額減税について」首相官邸「第二百十二回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説」国税庁「No.2875 居住者と非居住者の区分」をもとに筆者作成

調整給付金の概要2/3

調整給付金の概要

出所:内閣官房「定額減税・各種給付の詳細」をもとに筆者作成

定額減税は、所得額にかかわらず減税を受けられる施策です。

今回は所得税3万円、住民税1万円の合計4万円が税額から差し引かれます。

会社員の場合、所得税は毎月の給与から源泉徴収される分が差し引かれます。

6月だけで3万円すべて引ききれない場合は、翌月以降に繰り越される仕組みです。

一方、住民税は年間納税額から1万円が差し引かれます。差し引かれた金額は6月には徴収されず、7月からの11ヶ月間で徴収されます。

差し引かれた金額を11で割った際に出る1000円未満の端数は、7月分にまとめて徴収される仕組みです。

定額減税で減税しきれない分が発生する場合は、全員が平等に減税の恩恵を受けられるように「調整給付金」が支給されます。

給付金額は、減税しきれなかった分を1万円単位で切り上げた金額です。

2. 定額減税の対象者

定額減税の対象者は、以下の要件をすべて満たす人です。

  • 令和6年分の所得税を納税する居住者
  • 令和6年分の所得金額が1805万円以下
    (給与収入のみの場合は、給与収入2000万円以下、ただし所得金額調整控除の適用を受ける場合は2015万円以下)

※居住者:国内に住所がある者や現在まで1年以上国内に「居住場所」がある者

所得税が課税されており、給与収入が2000万円以下であれば、定額減税の対象となります。

実際に減税されているかどうかは、所得税と住民税とで確認方法が異なります。

所得税は、給与明細の税額欄や2024年分の源泉徴収票などを確かめてみましょう。

住民税は、給与明細や自治体から送られてくる住民税通知書を確かめてください。

3. 調整給付金の対象者

調整給付金の対象者は、定額減税しきれないと見込まれる人です。

具体的には「減税額が所得税・住民税額を上回る」と給付の対象となります。

扶養親族が多い人や、収入が少なく所得税や住民税があまりかからない人は、給付対象となる可能性が高いといえます。

定額減税の減税額が年間合計税額を下回っている場合、調整給付金は支給されません。

4. 【年金収入の金額別】調整給付金はいくらもらえる?

では、年金世帯では調整給付金をいくら受け取れるのでしょうか。

月額あたりの年金収入が以下の金額の場合を例に、調整給付金額を確かめてみましょう。

【年金収入の金額別】調整給付金の金額3/3

【年金収入の金額別】調整給付金の金額

出所:国税庁「No.2260 所得税の税率」国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」東京都主税局「個人住民税」をもとに筆者作成

  • 月額10万円:なし
  • 月額13万円:4万円
  • 月額15万円:2万円
  • 月額19万円:なし

※65歳以上の単身世帯を例に、年金収入以外の所得はないものとして試算している。
※住民税額の課税・非課税基準は東京23区の要件に基づくものとしている。

東京23区在住の単身世帯の場合、月額13万円〜18万円程度の年金を受け取っている人は、ほかに収入がなければ調整給付金が支給されます。

一方、月額10万円ほどであれば所得税・住民税どちらもかからなくなり、住民税非課税世帯への給付金を受け取れる場合があります。

また、月額19万円を超えると定額減税で所得税3万円、住民税1万円をそれぞれ引ききれるため、調整給付金は支給されません。

支給額は1万円単位で切り上げられています。「3万4000円」「1万9000円」のように差額が直接支給されるわけではありません。

5. 調整給付金の申請方法

調整給付金は、自治体から送られてくる書類を記入して申請する必要があります。

調整給付金の対象者には、自治体から案内や必要書類が、郵送で送られてきます。

書類の内容をよく読み、申請書への記入や本人確認書類の用意などをしておきましょう。

期日までに返送すれば、自治体から指定の銀行口座へ給付金が振り込まれます。

支給日や支給までの期間なども、自治体から送られてくる書類で確認しておくとよいです。

6. 調整給付金には「ファストパス制度」も

調整給付金では、申請なしで給付を受けられる「ファストパス制度」を採用している自治体があります。

ファストパス制度では、過去に自治体から給付金を受け取ったなどの理由で自治体が口座情報を把握している場合や、国に公金受取口座が登録されている場合は、申請手続きが不要となります。

そのため、年金を国に登録した公金受取口座で受け取っている人や、過去に給付金を受けた口座で受け取っている人は、同じ口座に調整給付金が支給されると考えておきましょう。

ファストパス制度で調整給付金を素早く支給してくれる主な自治体は、以下のとおりです。

  • 東京都江戸川区:6月18日から支給開始
  • 千葉県富津市:7月19日に書類発送予定、8月8日ごろに振込予定
  • 北海道登別市:7月1日に書類発送済、7月25日に支給予定。より早期の支給を受けたい人は、7月11日までにオンラインで支給承諾が必要。

自治体から給付金の案内のみ送られてきた場合は、ファストパス制度の対象です。

自治体の振込予定日以降に、銀行口座を確認してみましょう。

7. 調整給付金の締め切りはいつ?

調整給付金の締切は、自治体によって異なります。いくつかの自治体の申請締切日を確認してみましょう。

  • 東京都港区:2024年10月31日(木曜日)
  • 神奈川県藤沢市:2024年10月31日(木曜日)
  • 栃木県下野市:2024年10月10日(木曜日)
  • 青森県おいらせ町:2024年9月30日(日曜日)

夏から秋にかけて支給する自治体が多いため、多くの自治体で10月31日を申請締切としています。

一方、一部では10月中旬や9月末などに締切を設定している自治体もあるようです。

調整給付金は自治体ごとに申請期限が異なるため「ほかの市区町村の締切がまだだから自分もまだ申請しなくてよい」とは限りません。

調整給付金に関する郵送物が届いた場合は、必ず申請書の提出期限を確認しておきましょう。

8. まとめにかえて

年金受給者であっても、調整給付金は原則受け取るための申請手続きが必要です。

ただし、口座が国や自治体に登録されている場合は不要となります。

もし申請手続きが必要な場合は、手続きを完了しないと調整給付金を受け取れません。

年金受給者は納める税額が少ない傾向にあるため、調整給付金の対象となりやすいです。

自治体からの郵送物を必ず確認して、確実に給付金を受け取りましょう。

参考資料

石上 ユウキ