3. 2024年度は物価高により年金が増額も「実質目減り」に
また、年金額は毎年度改訂されます。2024年度の年金額は以下の通り。
3.1 2024年度の年金額の例(国民年金と厚生年金):月額(前年度比)
- 国民年金(満額):6万8000円(+1750円)
- 昭和31年4月1日以前生まれの方は月額 6万7808 円(+1758 円)
- 厚生年金※:23万483円(+6001円)
※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合、受け取り始める「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」。
2024年度は物価高により増額となりましたが、マクロ経済スライドの調整により、実質的には目減りとなりました。
令和6年度の参考指標となる、物価変動率は3.2%。
ただし、物価変動率が名目手取り賃金変動率※を上回る場合、名目手取り賃金変動率を用いて年金額は改定されます。
名目手取り賃金変動率は3.1%ですが、そこにマクロ経済スライドによるスライド調整が▲0.4%入り、年金額改定率は+2.7%となりました。
物価変動率には達しないため、実質的には目減りといえます。
※名目手取り賃金変動率とは、2年度前~4年度前までの3年度平均の実質賃金変動率に、前年の物価変動率と3年度前の可処分所得割合変化率(0.0%)を乗じたもの
4. 物価高に年金は対応しきれず。詳しい対象者などの条件は今後確認を
物価高は止まるところを知らず、帝国データバンクによれば値上げ品目は2022年で2万5768品目(値上げ率平均14%)、2023年で3万2396品目(値上げ率平均15%)、そして2024年は現段階で8269品目(予定含む。値上げ率平均17%)です※。
※調査時点の食品上場105社のほか、全国展開を行う非上場食品90社を含めた主要195社の2022-24年価格改定計画(実施済みを含む)。なお、品目数は再値上げなど重複を含む。
一方で、公的年金は物価高には対応しきれず、少子高齢化の日本においては今後年金受給額が減る可能性も考えられるでしょう。
今回のような社会情勢による急激な物価高においては、貯蓄や仕事による収入など個人や各家庭の日ごろの備えが必要な一方で、給付金による支援も必要と考えられます。
「年金世帯」や「低所得者世帯」への追加給付金について、その詳しい対象者や内容については、引き続き今後の動向を確認していきましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日
- 帝国データバンク「6月の食品値上げ 614 品目」
宮野 茉莉子