3. 【解説】新NISAとiDeCoとの違いは「受け取り可能な年齢」と「所得控除」
iDeCoはNISAと双璧をなすよく聞く言葉ですが、どのように違いがあるのでしょうか。
個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)は、個人が掛金を出して、自ら運用し、老後資金を作る年金制度。
国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せされる、老後資金づくりを目的とする年金制度のひとつです。
加入者が掛金を出し、自ら金融商品を選んで運用を行い積み立てた資産は、60歳以降に一括または分割で受け取ります。
ここでポイントとなるのが、60歳以降に受け取れるという点。NISAであればつみたて途中であったとしても、いざという時には使うことが可能ですが、iDeCoは引き出しに制限がついています。
ある程度の余裕資金を所有する状況以外でスタートすると、自分を助けるために始めた投資が自分の首を絞めてしまう結果となる可能性が出てきます。
ただし、iDeCoには運用益が非課税になるだけでなく掛金が全額所得控除されるため、税制優遇が大きいメリットがあります。
NISAとiDeCoは特徴が異なるため、どちらを選ぶか、もしくは併用するかは運用目的により異なります。
「必要なタイミングが来たら、いつでも引き出したい」という人はNISA、「税制優遇を受けながら、年金を自分で築いていきたい」という人はiDeCo、といった形で検討してみると良いでしょう。
4. まとめにかえて
本記事では、新NISAの「つみたて投資枠」を活用した積立投資で資産をどれくらい増やす期待がもてるのか、シミュレーションしました。
想定利回りが高いほど期待できる利益は大きくなりますが、投資ではリターンとリスクが背中合わせである点には十分注意する必要があるでしょう。
リスクの許容範囲には個人差があります。人気ランキング上位の投資商品だから、友人が儲けているから、といった理由だけで投資を続けると、日々の値動きに一喜一憂することになるかもしれません。
目指すべき期待値、考えうるリスクを十分に理解した上で積立投資を検討してみてください。
新NISAを活用した積立投資で老後資金を準備する方も多いようです。厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、老後、公的年金による収入だけで生活できている高齢者世帯は全体の44%でした。
高齢者世帯の半数以上が、貯蓄の取り崩しや労働収入などで不足分をカバーしていることがわかります。
公的年金に頼りすぎず、自力で補充する意味でも積立投資を検討してみてもよいでしょう。
5. 【参考】公的年金「国民年金・厚生年金」の平均受給額(全体・男女別)
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2022年度末現在の国民年金・厚生年金の平均月額は次のとおりでした。
5.1 国民年金の平均受給額(月額)
- 全体:5万6316円
- 男性:5万8798円
- 女性:5万4426円
5.2 厚生年金の平均受給額(月額)
- 全体:14万3973円
- 男性:16万3875円
- 女性:10万4878円
参考資料
足立 祐一