厚生年金は、これまでの収入や厚生年金への加入期間などにより、受給額が一人ひとり異なります。昨今の物価高を考えると、「もっともらいたい」と思っている方も少なくないのではないでしょうか。

厚生年金をいくら受給できれば良いかは人それぞれ違いますが、「手取り月額15万円」がひとつの基準として挙げられるでしょう。

この記事では、手取り額月15万円以上をもらっている方はどのくらいいるのか、また、手取り15万円をもらうために必要な年収の目安について解説していきます。

1. 「額面金額」と「手取り額」は違う

厚生年金の受給額を考える際には、「額面金額」と「手取り額」の違いを理解しておく必要があります。

額面金額とは、年金支払額のことをいい、保険料や税金が控除される前の金額のことです。厚生年金からは、一定の条件に該当する場合、介護保険料や国民健康保険料などの保険料や、所得税や住民税といった税金が控除されます。

保険料や税金が控除された後の、実際に口座に振り込まれる金額が手取り額となるのです。

したがって、額面金額15万円の厚生年金を受給している場合、そこから保険料や税金が控除され、手取り額は15万円より減額された金額になります。

額面金額に対する手取り額の割合は、お住まいの地域や家族構成、年金以外の所得などにより異なりますが、一般的に額面金額の85〜90%程度になると捉えておきましょう。

逆算すると、手取りで15万円を受給するには、額面金額で16万7000円〜17万7000円程度が必要になります。

2. 手取り15万円以上受給者は約40%

厚生労働省年金局の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は月額14万3973円です。

ここから保険料や税金が控除されると、手取り額は12万5000円程度になると考えられ、手取りで15万を受給できている方は、うらやましい方といえるでしょう。

ここで、厚生年金の受給額の分布状況を見てみましょう。

【写真3枚】1枚目/厚生年金の受給額一覧表、2枚目/厚生年金受給額の計算式1/3

厚生年金の受給額一覧表

出所:厚生労働省年金局「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

【厚生年金受給額(額面)の金額ごとの割合】

  • 1万円未満 :0.38%
  • 1万円以上2万円未満:0.10%
  • 2万円以上3万円未満:0.34%
  • 3万円以上4万円未満:0.59%
  • 4万円以上5万円未満:0.64%
  • 5万円以上6万円未満:0.96%
  • 6万円以上7万円未満:2.57%
  • 7万円以上8万円未満:4.30%
  • 8万円以上9万円未満:5.80%
  • 9万円以上10万円未満:7.03%
  • 10万円以上11万円未満:7.05%
  • 11万円以上12万円未満:6.47%
  • 12万円以上13万円未満:5.91%
  • 13万円以上14万円未満:5.79%
  • 14万円以上15万円未満:5.96%
  • 15万円以上16万円未満:6.21%
  • 16万円以上17万円未満:6.51%
  • 17万円以上18万円未満:6.62%
  • 18万円以上19万円未満:6.32%
  • 19万円以上20万円未満:5.69%
  • 20万円以上21万円未満:4.75%
  • 21万円以上22万円未満:3.56%
  • 22万円以上23万円未満:2.40%
  • 23万円以上24万円未満:1.58%
  • 24万円以上25万円未満:1.04%
  • 25万円以上26万円未満:0.64%
  • 26万円以上27万円未満:0.37%
  • 27万円以上28万円未満:0.21%
  • 28万円以上29万円未満:0.10%
  • 29万円以上30万円未満:0.05%
  • 30万円以上:0.08%

手取りで15万円以上、つまり額面金額で16万7000円〜17万7000円程度以上を受給している方の割合は、約40%となります。半数以上の方が手取り15万円より少ないという結果です。

3. 手取りで月15万円もらうために必要な年収

厚生年金は、これまでの年収や厚生年金保険への加入期間などにより受給額が決まり、一般的に年収が高いほど、また、加入期間が長いほど受給額が高額になります。

では、手取りで月15万円をもらうには、現役時代の平均年収がいくらあれば良いのでしょうか。

前章でも解説した通り、厚生年金を手取りで月15万円もらうには額面金額で月17万円ほどが目安となり、年額に換算すると204万円です。

厚生年金受給額には国民年金受給額も含まれており、2024年度の国民年金は満額で81万6000円になるため、厚生年金は122万4000円を受給する必要があります。

3.1 厚生年金受給額を算出する

厚生年金受給額は以下の計算式で求めます。

厚生年金受給額の計算式2/3

厚生年金受給額の計算式

出所:日本年金機構「は行 報酬比例部分」

【報酬比例部分=①+②】

  • ①平成15年3月以前の加入期間
    平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間月数
  • ②平成15年4月以降の加入期間
    平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間月数

ここでは簡易的に、加入期間が平成15年4月以降のみで、なおかつ480月あると仮定します。

  • 厚生年金受給額=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間月数
  • 122万4000円=平均標準報酬額×5.481/1000×480月
  • 平均標準報酬額=約46万5000円

したがって、平均標準報酬額は約46万5000円ということがわかりました。

次にこの平均標準報酬額を保険料額表にあてはめて、報酬月額を見ていきます。

3.2 平均標準報酬額から報酬月額を確認して年額換算する

これを、「令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」にあてはめると、標準報酬は47万円の箇所に該当し、報酬月額は「45万5000円~48万5000円」となります。

報酬月額「45万5000円〜48万5000円」を年額に換算すると、546万円〜582万円となります。

したがって、厚生年金を手取りで15万円以上もらうには、現役時代の平均年収が546万円〜582万円必要になります。

なお、これはあくまでもシミュレーションであり、実際とは異なる点にご留意ください。

4. まとめにかえて

厚生年金を手取りで月15万円もらうには、額面金額で17万円程が目安となります。厚生年金受給者のうち、月15万円以上もらっている方は約40%で、半数以下という結果です。

今後、年金支給額が減少する可能性や支給開始年齢が引き上げられる可能性も否定できないため、ご自身で老後資金の準備を進めていく必要があるでしょう。

給与から先取り貯蓄をする、NISAやiDeCoを利用するといったように、ご自身に合った資金準備方法をみつけて、早めに始めることをおすすめします。

参考資料

木内 菜穂子