夏のボーナスが支給される時期です。
「今年こそは旅行に行きたい」「好きなものを大人買いしたい」というように、すでに使い道を決めている人もいるでしょう。
せっかくのボーナスですから、ぜひ有意義に使いたいものです。
一方で「まだ使い道に迷っている」「使うのがなんだかもったいない」と感じて、貯蓄にまわす人もいるのではないでしょうか。
なかには「ボーナスを貯蓄に回しても将来お金が足りなくなりそう」と不安な人もいるでしょう。
この記事では、年金生活が本格開始する70歳代の貯蓄に焦点を当て、貯蓄額の割合や平均金額、年金受給額について解説します。
後半では、老後に必要な生活費についても解説。
今の貯蓄額に不安を感じている人は、ぜひ参考にしてください。
1. 年金収入のみで生活できる高齢者世帯は何パーセント?
厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯1693万1000世帯のうち、年金収入のみで生活できる高齢者世帯は、全体の44%でした。
【写真1枚目/全6枚】年金収入のみで生活できる高齢者世帯の割合は44%!次ページ以降は70歳代の貯蓄円グラフや年金の平均受給額を一覧表で紹介1/6
高齢者世帯の半数にも満たない割合となっており、年金収入だけでは生活費のやりくりができないことがわかります。
不足分については、以下のような形で補われていると考えられます。
- 貯蓄の切り崩し
- 企業年金や私的年金
- 労働による収入
- 親族からの仕送り
年金収入は老後の貴重な収入源ですが、それだけでは老後の生活は厳しくなるでしょう。
将来に向けていかにして資産づくりを進めていくかが重要です。
2. 70歳代夫婦の平均貯蓄額と中央値はいくら?
70歳代の世帯ではどれくらいの貯蓄額を用意しているのでしょうか。
70歳代の夫婦世帯を例に、貯蓄額の平均額と中央値、貯蓄額の割合を見てみましょう。
2.1 平均と中央値
- 貯蓄額の平均:1757万円
- 中央値:700万円
2.2 貯蓄額の割合一覧表
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
平均額は1757万円、中央値は700万円となっています。
3000万円以上の貯蓄額を備えている人が19.7%と最も割合が大きく、平均を押し上げる形となっています。
一方で、金融資産を保有していない世帯の割合も19.2%と高い数字です。
高齢者世帯の貯蓄額は、すでに大きな格差があるといえるでしょう。
3. 70歳代の「厚生年金」と「国民年金」の平均額
では、高齢者世帯にとっては貴重な収入源である年金の平均受給額はいくらなのでしょうか。
70歳代を例に、厚生年金・国民年金の平均額を確認しましょう。
3.1 厚生年金
- 70歳:14万1350円
- 71歳:14万212円
- 72歳:14万2013円
- 73歳:14万5203円
- 74歳:14万4865円
- 75歳:14万4523円
- 76歳:14万4407円
- 77歳:14万6518円
- 78歳:14万7166円
- 79歳:14万8877円
- 70歳代前半(70〜74歳):14万2779円
- 70歳代後半(75〜79歳):14万6092円
※国民年金部分を含む
3.2 国民年金
- 70歳:5万7320円
- 71歳:5万7294円
- 72歳:5万7092円
- 73歳:5万6945円
- 74歳:5万6852円
- 75歳:5万6659円
- 76歳:5万6453円
- 77歳:5万6017円
- 78歳:5万5981円
- 79歳:5万5652円
- 70歳代前半(70〜74歳):5万7084円
- 70歳代後半(75〜79歳):5万6205円
70歳代では、厚生年金の受給額が14万円台、国民年金の受給額が5万円台となりました。
年齢によって若干の差があるものの、70歳から79歳までの間で年金受給額が大きく変動することはないようです。
4. 全年代の厚生年金と国民年金の平均額
多くの人は、65歳から年金受給が始まります。
60歳代以降の全年代の厚生年金・国民年金の平均受給額を見てみましょう。
4.1 厚生年金の平均月額
- 男性の平均年金月額:16万3875円
- 女性の平均年金月額:10万4878円
- 全体の平均年金月額:14万3973円
※国民年金部分を含む
厚生年金の全体の平均年金月額は14万3973円と、70歳代の平均とほぼ同等額です。
内訳を見ると、男性が16万3875円で平均を上回る一方、女性は10万4878円と平均を下回っています。
結婚や出産を機に退職すると、厚生年金に加入しなくなるため受給額が少なくなると考えられます。
4.2 国民年金の平均月額
- 男性の平均年金月額:5万8798円
- 女性の平均年金月額:5万4426円
- 全体の平均年金月額:5万6316円
国民年金の全体の平均年金月額は5万6316円でした。
厚生年金と同様、70歳代の平均とほぼ同等額です。
国民年金は20歳から60歳までの人が全員加入します。
そのため厚生年金に比べて男女差が少なく、将来のおおよその受給額を見込みやすいといえます。
では、現代シニアは毎月いくらほどの生活費を必要としているのでしょうか。
次章では65歳以上の夫婦世帯の家計収支から、老後に必要な生活費を試算してみましょう。
5. 老後に必要な生活費はいくら?シニアの家計収支を見る
老後に必要な生活費はいくらぐらいなのでしょうか。
すでに退職した65歳以上の夫婦世帯の家計収支を見てみましょう。
5.1 収入
- 社会保障給付:21万8441円
- その他:2万6139円
- 合計:24万4580円
5.2 支出
- 消費支出:25万959円
- うち食料:7万2930円
- うち住居:1万6827円
- うち光熱・水道:2万2422円
- うち家具・家具用品:1万477円
- うち被服及び履物:5159円
- うち保健医療:1万6879円
- うち交通・通信:3万729円
- うちその他:5万839円
- 非消費支出:3万1538円
合計:28万2497円
5.3 不足分:3万7916円
支出については、食料費や交通費、光熱・水道費が大きな割合を占めています。
支出合計額は28万2497円と、前述の年金額だけではとても足りそうにありません。
加えて、税や社会保険料も納める必要があるため、不足額はさらに増えてしまいます。
収入が支出を下回り不足分が発生していることからも、老後生活は貯蓄を用意しておかない限り「毎月赤字」状態だといえます。
現役のうちから十分な貯蓄を備えるのが重要です。
6. まとめ
現在の年金受給額は、満足な老後生活を送るために十分な額とはいえません。
「個人資産の取り崩し」を前提としておかないと、老後の生活資金が足りなくなってしまいます。
高齢になると、体力面からだんだんと働くのが難しくなってくる可能性もあります。
現役のうちから貯蓄計画を立てて、将来困らないように備えましょう。
参考資料
- 厚生労働省「2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要」
石上 ユウキ