5年に1度の財政検証に伴い、国民年金保険料の納付期間の延長などが検討されていることはご存知でしょうか。

延長が施行された場合、これまで60歳で現役を退いていたシニア世代が減少していくでしょう。

昨今の物価上昇に伴い、今後は年金額が調整される「マクロ経済スライド」の機能も鍵になってくると思われます。

本記事では「財政検証」のポイントや最新の年金制度、厚生年金と国民年金の受給額を確認します。

令和シニアの年金生活の実態を見ていきましょう。

1. 2024年:年金制度における「財政検証」のポイント5つ

「年金の財政検証」とは、国民年金法と厚生年金保険法に定める「財政の現況及び見通し」のこと。

そもそも公的年金制度は長期的な年金財政の健全性を保つため、社会・経済の変化を踏まえて適切な算出方法に基づいて検証されます。

つまり、年金財政の将来を予測して、その結果に基づき制度が改正されるのです。

国民年金法や厚生年金保険法の規定により、現在では5年ごとに公的年金の財政における現況と今後の見通しの作成、いわゆる「財政検証」が実施されています。

2024年の財政検証は、検討中の年金制度改正が検証のポイント。現在、議論される主な内容は次の通りです。

1.1 2024年の「財政検証」の主な5項目

  • 保険料率の基準額上限を引き上げ
  • 国民年金(基礎年金)納付期間の延長
  • 国民年金(基礎年金)給付抑制を早期停止
  • 被用者保険(厚生年金保険)の対象拡大
  • 在職老齢年金制度の緩和または廃止 など

前回2019年に実施され、2024年に「財政検証」が実施されるスケジュールです。

年金の財政検証は、将来の財政見通しの確認により制度を見直すことが目的の1つとされています。

2. 現在の「公的年金制度」の仕組みをおさらい

次に、現行の公的年金制度の仕組みについておさらいしておきましょう。

【写真全11枚中1枚目】日本の年金制度のしくみ。2枚目以降では、60歳代~90歳以上まで1歳刻みで平均年金受給額を掲載。

日本の年金制度のしくみ

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

2.1 国民年金(1階部分:基礎年金)

  • 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
  • 保険料は一律
  • 納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まる

2.2 厚生年金(2階部分)

  • 公務員やサラリーマンなどが加入する
  • 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
  • 加入期間や納付額に応じて将来もらえる年金額が決まる

上記のように、日本の公的年金制度は2階建て構造になっています。

近年では公的年金に上乗せして、企業年金や個人年金保険に加入する方もいます。こうした年金は「私的年金」とされ、年金の「3階部分」に位置するといわれます。

次の章からは、令和シニアが実際に受け取る年金額について60歳代~90歳以上までの一覧表で確認してみましょう。