「かぼちゃの馬車」のスマートデイズが破産

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズが2018年5月15日、東京地裁より破産手続きの開始決定を受けました。同社は4月9日に東京地裁に民事再生法の適用を申請していましたが、同月18日に東京地裁から棄却されていました。

「会社が倒産する」といった表現は日常的に使われますが、破産とはどう違うのでしょうか。結論から言えば、「破産」は「倒産」の分類の一つです。ただし、「破産」は破産法などの法律で規定されていますが、「倒産」は、正式な法律用語ではありません。

企業倒産については、民間調査会社の東京商工リサーチが1952年から「全国倒産動向」の集計を開始したことで一般に知られるようになったとされます。同社では倒産を次のように定義しています。
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「倒産」とは、企業が債務の支払不能に陥ったり、経済活動を続けることが困難になった状態を指す。「法的倒産」と「私的倒産」の2つに大別され、「法的倒産」では再建型の「会社更生法」と「民事再生法」、清算型の「破産」と「特別清算」に4分類される。「私的倒産」は、「銀行取引停止」と「内整理」に分けられる。
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再建型の2つの手法は「民事再生」と「会社更生」

「債務の支払不能」とは、借りているお金が返せないことです。資金繰りに窮して、これ以上会社を存続させることが難しい状態になったときに、再建型あるいは清算型の手続で法的に整理するのが倒産です。

再建型とは、その名のとおり企業が事業を継続しながら再建を図る方法です。債務の支払を延ばしたり、圧縮(減額)したりすることで、負担を減らしながら債務を弁済します。再建型の代表的な手続が民事再生です。

実は、民事再生は2000年にスタートした比較的新しい制度です。それまでは「和議」という似た制度がありました。

民事再生では、債務者(お金を借りている側=会社側)が主体となります。債務者が再生計画案を裁判所に提出しこれが債権者集会などで可決され、裁判所に認められれば、再生計画が決まります。また、民事再生の手続が開始されても、経営陣は引き続き経営を行なうことができます(重要事項については監督委員の同意が必要)。

再建型の制度のうち、もう一つの会社更生は、債権者数が多く、債権額も大きい大規模な企業が対象となる制度です。

投資家救済は厳しい状況。運営会社を提訴する動きも

民事再生など再建型の手続では、会社の財産を残し、事業を行いながら債務を弁済します。いわば、債務の返済の先延ばしです。

スマートデイズが民事再生法の適用を申請したのは、まだ延命できると考えていたのか、あるいは単に問題を先送りしようとしただけなのかはわかりませんが、東京地裁はこれを認めませんでした。地裁はおそらく、ほとんど財産がなく、かつ、再建のめども立たないと判断したのでしょう。

破産の場合は、すべての財産を集めてそれをお金に換え債権者に分配します。といっても、同社は新規の物件売却の売上を既存オーナーの賃料支払に充てる自転車操業状態だったとされます。止まっている賃料の支払いも難しい状況です。

大半のオーナーに資金を融資したスルガ銀行によれば、融資総額は約2000億円、借り手は計1200人あまりに上るとのこと。投資したオーナーの多くは30代~50代の会社員で、1億円以上の融資を受けた人も少なくありません。

ただ、その過程で、販売業者が購入希望者の年収や預金額を改ざんしたり、銀行もこれを黙認する不正行為が行われていたのではないかとされ調査が始まりました。

オーナーの中にはビジネスモデルそのものが詐欺だったとして、損害賠償を求めてスマートデイズや販売会社らを提訴する動きもあります。ただ、解決までの道はかなり険しくなりそうです。

上山 光一