一般的に、国家公務員は給与や退職金が安定しているイメージがあります。実際の支給額は職種や勤務地、役職などによって大きく異なりますが、平均値で見るとどのくらい支給されているのでしょうか。

今回は、内閣官房内閣人事局の資料を基に、国家公務員の平均給与や、退職金の平均支給額を見ていきます。

夏のボーナスの記事となり、年収やキャリアについて考える機会が増えるかもしれません。

記事の後半では、国家公務員のモデル給与例や月例給を基に、生涯賃金のシミュレーションを行っています。

1. 国家公務員の平均給与

内閣官房内閣人事局「国家公務員の給与(令和5年版)」から、国家公務員のモデル給与や月例給、指定職の平均給与などを見ていきます。

1.1 国家公務員のモデル給与例

モデル給与例は、実際にどの程度の給与が支給されているかを一例として示したものです。役職や年齢に応じた給与例を見てみましょう。
 

【写真1枚目/全5枚】国家公務員のモデル給与例。次の写真では退職金も紹介!1/5

国家公務員のモデル給与例

出所:内閣官房内閣人事局「国家公務員の給与(令和5年版)」

  • 25歳・係員:月額19万6900円
  • 35歳・係長:月額27万4600円
  • 35歳・本府省課長補佐:月額43万5320円
  • 50歳・地方機関課長:月額41万3200円
  • 50歳・本府省課長:月額74万9400円

1.2 国家公務員の月例給

国家公務員の月例給(行政職俸給表(一)(平均 42.7 歳)の平均)2/5

国家公務員の月例給

出所:内閣官房内閣人事局「国家公務員の給与(令和5年版)」

  • 俸給:32万3711 円
  • 地域手当・広域異動手当:4万3644 円
  • 俸給の特別調整額(管理職手当):1万2655 円
  • 扶養手当:8852 円
  • 住居手当:7129 円
  • 単身赴任手当等:9058 円
  • 合計:40万5049 円

行政職俸給表(一)の対象職員(平均42.7歳)の平均給与は40万5049円とのことです。

1.3 国家公務員の指定職の給与

本府省の局次長、部長、審議官、外局の次長クラスで月額70万6000円~81万8000円、本府省の局長クラスで月額89万5000円~96万5000円です。

また、外局の長官、内閣府審議官等、事務次官クラスになると月給が100万円を超えています。

続いて、内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」を基に、国家公務員の退職金支給額を見ていきます。

2. 国家公務員の退職金

国家公務員の退職金は、退職理由や勤続年数によって支給額が大きく異なります。退職理由別および勤続年数別の平均支給額を見てみましょう。

2.1 退職理由別の退職金平均支給額

退職理由別の平均支給額4/5

退職理由別の平均支給額

出所:内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」

  • 定年(常勤職員):2112万2000円
  • 応募認定(常勤職員):2524万7000円
  • 自己都合(常勤職員):274万5000円
  • その他(常勤職員):212万1000円
  • 計(常勤職員):1104万3000円
  • 定年(うち、行政職俸給表(一)適用者):2111万4000円
  • 応募認定(うち、行政職俸給表(一)適用者):2250万円
  • 自己都合(うち、行政職俸給表(一)適用者):327万5000円
  • その他(うち、行政職俸給表(一)適用者):230万円
  • 計(うち、行政職俸給表(一)適用者):1391万円

退職理由が「定年退職」の場合、常勤職員で2112万2000円、行政職俸給表(一)適用者で2111万4000円となります。なお、自己都合での退職の場合は平均300万円前後の退職金に留まります。

2.2 勤続年数別の退職金平均支給額

勤続年数別の平均支給額5/5

勤続年数別の平均支給額

出所:内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」

行政職俸給表(一)適用者で、退職理由が定年退職の場合、勤続年数別の平均支給額は以下のようになります。

  • 5年未満: 84万8000円
  • 5年~9年:451万8000円
  • 10年~14年:675万7000円
  • 15年~19年:1016万6000円
  • 20年~24年:1352万4000円
  • 25年~29年:1625万6000円
  • 30年~34年: 2037万円
  • 35年~39年:2189万1000円
  • 40年以上:2139万1000円

では、ここまでの内容を基に、国家公務員の生涯賃金について考えてみましょう。

3. 国家公務員の生涯賃金をシミュレーション

国家公務員の生涯賃金は、職種や勤務地、役職、勤続年数などによって大きく異なりますが、今回は「モデル給与例」や「月例給」を基に考えてみます。

例えば、「モデル給与例」にあるように25歳で係員に着任後、35歳で本府省課長補佐、50歳で本府省課長に昇進した場合の生涯年収を考えてみると、概算で3億5000万円前後と推計されます。

ただし、このケースは順調に昇進した場合の給与例になるので、生涯年収が3億円を超えるケースは多くないものと考えられます。

次に、「月例給」にあるような行政職俸給表(一)適用者の平均給与を基に考えてみると、生涯年収は概算で2億5000万円前後と推計されます。

なお、行政職俸給表(一)適用者の平均勤続年数は38年10カ月、その場合の退職金の平均支給額は2189万1000円ですので、平均給与で38年10カ月勤務し、平均的な退職金を受け取ると仮定すれば、合計で2億7000円程度になるものと推計されます。

4. 生涯賃金は個人差が大きい

前述の通り、国家公務員の生涯賃金は職種や勤務地、役職、勤続年数などによって大きく異なります。

今回は「モデル給与例」や「月例給」を基にシミュレーションを行いましたが、これらはあくまでも平均的な金額となります。

昇進・昇給の状況などは人によって異なるので、生涯賃金は個人差が大きくなる点には注意しましょう。

参考資料

加藤 聖人