4. 老後に向けた資産形成の注意点
老後に向けた資産形成を考えるときには、65歳時点2000万円の資産形成を追求してしまいがちですが、無理な投資計画は長続きしません。
また、そもそも2000万円という目標設定が適正かどうかも、慎重に検討が必要です。
4.1 利回りを高めるとリスクも高くなる
投資においては、基本的に利回りとリスクの高さが比例する傾向にあります。
利回りが高い投資は、同時にリスクも高くなるのです。
リスクが高いということは、市場環境に応じて値動きが大きくなります。
投資している期間中に大きな損失を出して、投資を継続しづらくなる可能性もあるでしょう。
短期で大きな収益を得ようとすると、ついリスクの高い投資を選んでしまいがちです。
損失の大きさに嫌気して投資を辞めてしまっては、本末転倒といえます。
許容できる損失で済み、確実に続けられる投資方法を選ぶようにしましょう。
4.2 生活費とのバランスをみて投資額を決めよう
月々の投資額を増やせば、低い利回りでも資産を早いペースで増やすことができます。
そのため、多額を拠出して目標を達成しようと考える方も少なくありません。
しかし、投資額が大きすぎると、日々の生活に回せる資金が少なくなり生活が苦しくなるおそれがあります。
そもそも生活費が足りなくなって、投資を中止せざるを得ない事態に陥る可能性もあります。
月々の支出額をもとに、確実に続けられる余裕のある金額を積立に回すようにしましょう。
4.3 目標設定額は2000万円で適正か冷静に考えよう
令和元年に発表された金融庁のレポートを受けて「老後資金として2000万円を貯める必要がある」との考え方が広がりましたが、目標金額は個々の状況に応じて適正額を設定する必要があります。
たとえば、この2000万円には介護費用が含まれていません。
頼れる家族がおらず、介護費用も自費で出す必要がある場合は、介護費用を含めた金額を貯める必要があります。
目標額は2000万円よりも大きくなるでしょう。
5. まとめにかえて
高収入で年金額受取額が平均より多い方や単身暮らしが想定される方は、2000万円まで貯めなくとも生計を維持できる可能性があります。
働くのが好きで、65歳で引退することを考えていない方にとっては、65歳時点での貯蓄額は必ずしも重要ではないでしょう。
自分のライフプランや収支額、年金の受取見込額などを踏まえて、自分に取って必要な老後資産額を計算してみましょう。
参考資料
太田 彩子