3. 令和6年度の年金額は2.7%増額も、実質的には目減り
先ほどの試算はあくまで令和6年度の年金額を元にしたものです。令和6年度年度の年金額は以下の通り。
3.1 令和6年度の年金額の例(国民年金と厚生年金):月額(前年度比)
- 国民年金(満額):6万8000円(+1750円)
- 昭和31年4月1日以前生まれの方は月額 6万7808 円(+1758 円)
- 厚生年金※:23万483円(+6001円)
※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合、受け取り始める「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」。
年金額は物価高により2年連続で増額ですが、マクロ経済スライドの調整などにより、実質的には目減りです。
少子高齢化の日本においては、年金額が将来変わる可能性もあります。
自身が年金を受給する頃を想定した老後資金準備が求められるでしょう。
4. 年金の手取りも想定して老後計画を
将来の年金についてもう一つ考えておきたいのは、基本的には税金や社会保険料が天引きされるということです。
ねんきんネットやねんきん定期便などで、年金の加入状況や将来の受給予定額の目安を確認することもできますが、そこから税金や社会保険料を支払うと、実際の生活で使うお金は思っていたより少ないという場合もあります。
公的年金は受給開始から生涯受け取れるメリットがあるので、現役時代はなるべく将来もらえるよう増やす努力をしたいところですが、一方で日本では将来年金額が減る可能性などもあります。
パートの方は今の手取りは減るのも気になると思いますが、ご家庭の状況や長い目で見たキャリアプラン、老後資金などさまざまな視点から考えるといいでしょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「パート・アルバイトのみなさま」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」
- 厚生労働省年金局「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点 ②」
宮野 茉莉子