数年前に「老後2000万円問題」が話題となりましたが、近年では物価高騰の影響を受け「老後は4000万円の資金が必要」といった声も聞かれるようになっています。

老後資金2000万円でもハードルの高い額ですが、果たしてシニア世代の貯蓄事情はどのようになっているのでしょうか。

本記事では、2024年5月17日に公表された最新資料より、65歳以上の無職世帯の貯蓄事情について紹介していきます。

記事の後半では、シニア無職世帯の家計収支についても紹介しているのであわせて参考にしてください。

1. 世帯主が65歳以上の無職世帯の平均貯蓄額は2504万円

まずは、世帯主が65歳以上の無職世帯における平均貯蓄額とその内訳を見ていきましょう。

総務省統計局の「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表」によると、世帯主が65歳以上の無職世帯の平均貯蓄額は2504万円でした。

貯蓄の内訳は下記のとおりです。

1.1 【貯蓄の内訳】金融機関:2493万円

  • 通貨性預貯金:754万円
  • 定期性預貯金:846万円
  • 生命保険など:413万円
  • 有価証券:480万円
  • うち貸付信託・金銭信託:17万円
  • うち株式:260万円
  • うち債券:51万円
  • うち投資信託:152万円

1.2 【貯蓄の内訳】金融機関外:11万円

金融機関外は11万円となりました。

預貯金が全体の約6割を占めており、安定を重視した貯蓄傾向になっているのがみてとれます。

しかし近年は、低金利環境が長期化しており、預貯金のみでは十分な老後資金を確保することが難しく、さらにインフレリスクも高まっていることから、実質的な資産価値が目減りしてしまう可能性もあります。

また、株式や投資信託などの有価証券の比率は「全体の約2割程度」と低く、「投資はリスクが高い」というイメージが依然として強いことが要因として考えられます。