①消費者物価の安い地方都市

政府が発表する消費者物価地域差指数は、都道府県庁の所在する都市の物価を相対的に見る指数である。それによると、家賃を除く総合指数が東京23区内よりも高いのは相模原市、横浜市、川崎市だけだ。

逆に最も低かったのは奈良市で、東京23区を100とすると93.7になる。物価の安い方から20番目は富山市で96.6。物価指数で東京23区に比べて3.4%以上低い都市が、地方の県庁所在地では20都市ある。

②大きすぎない都市

退職後の生活で手軽に利用できる範囲内に必要なサービスが揃うためには都市は大き過ぎないほうがよく、その一方で小さ過ぎて娯楽や文化施設が整わないという課題のない規模も必要なため、人口50万人程度を想定する。また、近隣にある大都市に生活必需ファシリティの一部を依存していないことも大切だ。

③コンパクトな都市

退職後の生活に利用できる範囲はそれほど広くないことから、都市がコンパクトである必要性も高い。その指標として人口密度で1平方キロメートルあたり1000人以上の都市を探す。

こうして、物価、総人口、人口密度の3つの条件で絞りこんだ都市は、前橋市、岐阜市、奈良市、松山市、鹿児島市の5つになる。

日本でも米国並みに「リタイアメント・コミュニティ」が広がり、退職後の生活のコストダウンが図れるような施策が求められる時代になっている。

消費者物価、人口、人口密度から見た移住候補地方都市

【出所】物価指数:消費者物価地域差指数(総務省)、人口:住民基本台帳、面積:全国都道府県市町村別面積(国土地理院)。これらをもとにフィデリティ退職・投資教育研究所作成

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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史