厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は月額14万3973円です。厚生年金は、これまでの年収や厚生年金への加入期間等により受給額が決まるため、一人ひとり異なりますが、どのくらいもらっているかのひとつの目安となるでしょう。

しかし、この金額は額面金額のことであり、ここから保険料や税金が差し引かれ、さらに少ない金額になってしまいます。

年金からはどのようなものが差し引かれて、最終的に手取りはどのくらいになるのか、シミュレーションしていきます。

1. 厚生年金の平均受給額は月14万3973円

冒頭でも触れたように、厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は月額14万3973円で、年額に換算すると172万7676円になります。

ただし、これは年金支払額(いわゆる「額面金額」)であり、実際に口座に振り込まれるのは、ここから保険料や税金が天引きされた金額です。

年金から天引きされるものは以下の通りです。

【写真3枚】1枚目/《一覧表》老齢年金から天引きされるもの、2枚目以降/年金月額14万4000円の天引き額シミュレーション結果表

《一覧表》老齢年金から天引きされるもの

筆者作成

1.1 介護保険料

  • 天引きとなる対象者:年金等(※)を受給している65歳以上の方のうち、年間の受給額が18万円以上の方
  • 保険料・税額:自治体や合計所得金額によって異なる

1.2 国民健康保険料

  • 天引きとなる対象者:年金等を受給している65歳以上75歳未満の方(後期高齢者医療保険制度の該当者を除く)のうち、年間受給額が18万円以上の方
  • 保険料・税額:加入者が均等に負担する「均等割」と所得に応じて負担する「所得割」がある、保険料率は自治体により異なる

1.3 後期高齢者医療保険料

  • 天引きとなる対象者:年金等を受給している75歳以上の方、または65歳以上75歳未満で後期高齢者医療保険制度に該当する方のうち、年間受給額が18万円以上の方
  • 保険料・税額:各都道府県の広域連合によって計算方法が異なる

1.4 住民税

  • 天引きとなる対象者:年金等を受給している65歳以上の方のうち、年間受給額が18万円以上の方
  • 保険料・税額:前年の所得に応じて決まる

1.5 所得税

  • 天引きとなる対象者:一定金額以上の公的年金を受給している方
  • 保険料・税額:年間の年金額から各控除を差し引いた金額により計算

※年金等とは、老齢年金、退職年金、障害年金、遺族年金のこと

このような保険料や税金が天引きされるので、手取り額は年金支払額よりも少ない金額になります。

では、これらの保険料や税金は具体的にどれくらい天引きされるのでしょうか。次章でシミュレーションしていきます。