5. 公的年金とiDeCoと老後資金
年金に不安を感じながらも、物価上昇や光熱費高騰に伴い、今まで以上に支出額が増加傾向にあります。このような状況下が続けば、老後生活でお金が不足することもあるでしょう。
そんな状況を回避するためには、収入源である年金額を増やす選択肢もあれば、事前に準備をする選択肢もあります。今回は事前に準備をする選択肢の中から、冒頭でもお話をした「iDeCo」についてお話をしていきます。
iDeCoとは、自分で毎月積み立てる金額・運用先を決めて老後資金を形成する私的年金の一つです。
原則として60歳まで加入できますが、国民年金に任意加入することで65歳になるまで掛金の拠出が可能です。一方で、原則60歳になるまで資産の引き出しができず、途中で解約することもできません。
iDeCoの一番のメリットは毎月の掛金が全額所得控除になり、住民税や所得税が節税になるメリットがありますが、iDeCoの掛金の変更は年に1回までと決められているため、掛金は長期間続けられる金額に設定する必要があります。
iDeCoを始めるにあたっても、ある程度毎月掛けられる金額を用意しなければなりませんし、「iDeCo始めなくてもなんとかなる」と考える人もいらっしゃるかと思います。
そのような方には、ご自身の必要な老後資金額を把握することによってiDeCoを始めるか否かの判断ができます。
必要な老後資金額は年金額や生活費、貯蓄額等によって異なるため、下記の計算式で計算しましょう。
(支出−収入)×12ヶ月×20年~25年=老後に必要な資金額
資産運用や老後資金に不安がある方は、自分の必要な老後資金額から計算してみてはいかがでしょうか。
6. 年金に頼らない老後計画を立てよう
「何となく年金に不安を感じる」という方が多い中、具体的な対策を実行できる方も少なくありません。
記事内でご紹介した長期加入者特例のように、年金制度は非常に複雑で、将来どれほどの年金を受給できるかわかりにくいことも一因です。
ただし、大事なのは「将来の年金がどれくらいもらうことが出来るのかを把握しておくこと」です。
わかってはいるけど面倒で、ねんきん定期便やねんきんネット等を確認していなかった方はいませんか。
「わかってはいるけど面倒で」というのは多くの場面であてはまることで、貯蓄についても同じです。劇的にお金が増える方法などはなく、結局は地道にコツコツ続けるのが近道になるものですが、やはり「わかってはいるけど面倒で」始めていないケースは多々あります。
もし劇的にお金が増える方法・膝を打つほどの画期的な方法、などに出会った場合、怪しい投資勧誘などの可能性があるでしょう。
公的年金に対する知識を高め、将来の受給額を知る。そして不足額について、コツコツと老後資金をためる。
シンプルではありますが、避けて通れない方法といえるのではないでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
- 日本年金機構「ねんきんネット」
- 日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」
- 日本年金機構「44年以上厚生年金保険に加入している特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給者が、退職などで被保険者でなくなったとき」
長井 祐人