年金生活になっても、社会保険料や所得税、住民税が控除されます。

まもなく6月から定額減税が始まりますが、電気代の助成打ち切りにより光熱費が上がる方や、そもそも物価高により節約が限界という方も多く、老後の不安は多いと思われます。

年金生活になれば少ない収入でやりくりすることになりますが、年金から天引きされるお金があることから、手取りはもっと少なくなるという点に注意が必要です。

所得に比例して発生する項目がいくつかあるため、控除前の受給額が高い方ほど額面と手取りの差が出る傾向にあります。

本記事では

  • 年金から天引きされるお金
  • 年金受給額が月20万円のケースの手取り額

について解説します。

1. 年金から天引きされるお金1:社会保険料

年金からは、次の社会保険料が控除されます。

  • 介護保険料
  • 国民健康保険料(税)や後期高齢者医療制度保険料

介護保険料は、65歳までは健康保険料に上乗せする形で納めていますが、65歳以降は第1号被保険者として自治体に保険料を納めます。

例えば東京都三鷹市の場合では、2024年度の保険料基準額は月額で6300円と決まりました(所得に応じて異なります)

つぎに国民健康保険料(税)ですが、こちらは次の3つから構成されていて、それぞれ均等割と所得割の合計となります(自治体によっては平等割と資産割もあります)。

  • 医療給付費分(医療分)
  • 後期高齢者支援金分(支援金分)
  • 介護納付金分(介護分)

年金受給額が多い方ほど所得があがり、負担額も増える傾向にあるのです。

例えば、同じく三鷹区で二人世帯年金収入240万円、総所得130万円とした場合、次のような負担額となります。(いずれも年額)

医療分:11万4700円

  • 所得割額 87万円×7.30%=6万3510円
  • 均等割額 2名×2万5600円(2割軽減後の額)=5万1200円

後期高齢者支援金分(支援金分):4万2500円

  • 所得割額 87万円×2.32%=2万184円
  • 均等割額 2名×1万1200円(2割軽減後の額)=2万2400円

介護納付金分(介護分):なし

以上を合計した年間保険税額(医療分+支援金分+介護分)は15万7200円です。

月額にすると1万3100円負担する形となります。

また、75歳以上になると後期高齢者医療制度に加入することになるため、今後はこちらの金額が天引きされます。

2. 年金から天引きされるお金2:所得税

年金もれっきとした所得の一種なので、一定の金額に達せば所得税がかかります。

【写真1枚目/全2枚】所得税の計算式。2枚目の写真では年金収入から「所得」がわかる早見表をチェック1/2

所得税の計算式

出所:生命保険文化センター「公的年金の税金(所得税)はどうやって計算される?」

国税庁では、年金収入と所得に関する早見表を公表しています。

年金収入と所得に関する早見表2/2

年金収入と所得に関する早見表

出所:国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」

これによると、65歳以上で年間の年金収入が110万円超~330万円の場合は収入の合計ー110万円で所得額を計算可能です。

すなわち年間収入240万円の場合は130万円となります。

さらに、社会保険料で15万7200円支払っているため、最終的な課税所得は114万2800円となります。

その結果、所得税は年間で5万8340円です。

3. 年金から天引きされるお金3:住民税

所得がある場合、個人住民税も課税されて天引き対象となります。

65歳で年金を受給し始めたという方は、10月から住民税の天引きが始まるケースが多いです(自治体により異なります)

住民税は均等割と所得割に分かれていて、均等割の水準は自治体により異なりますが5000円前後の自治体が多いです。

また、所得割は基本的に所得の10%程度です。

住民税を計算する際にも、110万円の控除などが適用されます。

課税所得が114万2800円だとすると、翌年の住民税の所得割は11万4280円(所得の10%)です。

また、たとえば東京都世田谷区の場合は均等割が合計5000円です。

従って、年間の住民税額は11万9280円となります。

この金額を12ヶ月かけて支払っていくため、毎月住民税で1万円前後控除される計算です。

では、実際の手取り額はいくらになるのでしょうか。

4. 年金受給額が月20万円のケースの手取り額は?

年金受給を65歳から始めたとして、額面の年金月額が20万円だとすると、社会保険料が月額1万3100円天引きされます。

また、65歳以上で年金受給額が158万円を超える人は源泉徴収の対象となるため、ほかの控除項目がなければ所得税も源泉徴収されます。

目安として、およそ月額9000円ほどになる試算です。

以上をふまえると、65歳時点で月20万円の年金受給対象の方は、この時点で手取りが18万円以下まで減る計算となります。

さらに10月からは住民税の天引きも始まるので、手取りが減る可能性もあるでしょう。

※自治体によって金額は異なります。なお、12ヶ月に均等に分けられるわけではないため、月々の負担額は異なります。

5. まとめにかえて

2024年は定額減税が実施されるため、実際には所得税と住民税のあわせて4万円が減税される見込みです。

そのため、実際の手取り額はもう少し高くなることが見込まれます。

とはいえ、現役時代よりも収入が下がる世帯にとって、多くの天引きは負担が高いといえるでしょう。

今のうちからしっかり老後のプランを練っておきたいですね。

参考資料

太田 彩子