今年も物価上昇は止まる気配は今のところありません。

モノの値段が上がることに慣れてはきましたが、一方で給料が思うようにアップした実感がない人もいるでしょう。

給料が上がらない以上に残業代などの変動がない年金世代は更に物価上昇の恐怖があるのではないでしょうか。老後の生活を安心して送るために欠かせない要素の一つが公的年金。現役を引退した人にとって、生活を支える要となります。

今年は5年ぶりに年金の「財政検証」が実施され、制度の維持に向けた改正が議論されます。それでは、今の高齢者はどれほどの年金を受給しているのでしょうか。

今回は「30万円の年金」を受け取れる人のお金事情を検証していきましょう。

記事の後半では、厚生年金の平均受給額やボリュームゾーンについても確認します。

1. 【消費者物価指数】2023年度は前年度比「3.0%」上昇

まずは、日常生活に反映される「消費者物価指数」の推移について確認していきます。

2024年4月に公表された「2020年基準 消費者物価指数(全国) 2023年度(令和5年度)平均」を見ていきましょう。

【写真全4枚中1枚目】2023年度までの消費者物価指数の推移。
2枚目では、厚生労働省から公表された年金モデルケースを掲載。

 【写真全4枚中1枚目】2023年度(令和5年度)消費者物価指数の動き

出所:総務省「2020年基準 消費者物価指数(全国) 2024年(令和6年)3月分及び2023年度(令和5年度)平均」

2020年を100とした総合指数は106.3を記録。2022年度比で、3.0%の上昇しているとわかります。

ちなみに、生鮮食品を除く総合指数は105.9で、前年度比にして2.8%アップ。生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は105.3となり、前年度比は3.9%上昇しました。

全体的に指数は上昇し、物価高がつづいている状況が視覚的に捉えられます。

こうした物価や賃金の上昇・変動率は、年金額にも大きな影響をもたらしていることでしょう。

今回は受給者の多い年金として、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金の受給額に迫ります。

次の章から、ひとりで「月額30万円の年金」を受け取れたのはどんな人なのかチェックしましょう。