2. 【chocoZAPが急成長!RIZAPの今後は?】品質向上で次のステージへ

店舗・サービスで量的な投資を続けてきたchocoZAPですが、今期は「品質向上」に重点を置く方針です。5月15日の決算説明会で200億円の投資を前倒しすると発表し、そのうち70億円を「ちょこっとサポート・コンシェルジュ」に充てます。具体的にはRIZAPトレーナー500名体制、コンシェルジュ100名体制を構築することで、ユーザーへのサポートを手厚くして満足度の向上を図ります。

今期は有人サービスに70億円を投資。急ピッチで品質向上に取り組んでいく

資料

出所:RIZAPグループ株式会社「2024年3月期 決算説明会資料」

品質向上を急ぐ要因として挙げられるのが「シニア層や初心者の増加」です。瀬戸社長は「シニア層や初心者の方に対しては習慣化を促す前に、どうやってトレーニングマシンを使うのかやどう役に立つのかを説明していく必要がある」と事情を話します。chocoZAPはアプリなどによってそのあたりをカバーしていますが、さまざまなデータや現場の声から人の手が不可欠という判断に至ったそうです。

人がフォローするのはトレーニングだけではありません。新たに導入したサービスについてもサポートしていきます。カラオケなどであればサポートはいらないように思えますが、これは「できるからこその思い込み」と同社は考えています。ポイントとなるのは、chocoZAPのユーザーには顕在層ではなく潜在層も多く含まれているということです。

chocoZAPは追加料金なしのサービスなので「好きなカラオケをお得に楽しめる」というユーザーだけでなく、「これまでやったことがないけど試してみよう」というユーザーもいます。これは専業でカラオケを展開している企業とはアプローチが変える必要がある部分です。実際に「カラオケの楽しみ方が分からないという方は多くいる」という現場の声を瀬戸社長もキャッチしているとのことでした。

chocoZAPのユーザーには顕在層だけでなく潜在層も多く含まれている

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出所:RIZAPグループ株式会社「2024年3月期 決算説明会資料」

有人サービスを展開することによって、気になるのは無人店舗による省コスト戦略を維持できるのかということです。瀬戸社長は「chocoZAPはまだ過渡期にあるサービス」であるとし、「0か1かという話ではなく、人とデジタルの組み合わせにおいて最適解を模索することが重要だ。ちょこっとサポート・コンシェルジュも走りながら効率的な運用を探っていく」と語ります。

「人とデジタルの組み合わせにおいて最適解を模索する」と語る瀬戸健社長

RIZAP瀬戸健社長の写真

筆者撮影

人員投下自体はコスト増ですが、顧客満足度の向上は店舗当たりの会員数増(退会率の低下)にもつながるため、結果的に全体コストを押し下げる効果が期待できます。また直近ではRIZAP会員のchocoZAPからの流入は16.2%(24年3月期4Q実績)という数字が出ており、有人サービスによって顧客単価の高いRIZAPへの誘導を強化できる可能性もあります。

果たしてローコスト運営と手厚いサポートのバランスがとれた最適解を導き出せるのか。ここは現段階では判断が難しいポイントではありますが、決算説明会では25年3月期前半に投資を集中し、後半は利益を追求するフェーズに入る方針が示されており、その答えは早い段階で明らかになりそうです。

品質向上のための投資は25年3月期前半に集中している

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出所:RIZAPグループ株式会社「2024年3月期 決算説明会資料」