厚生年金や国民年金をいくら受給できるのかは、年金振込通知書で確認できます。原則として毎年6月に送付されるので、お手元に届いた際には忘れずに内容を確認しましょう。

年金振込通知書には、年金振込額だけでなく、年金から天引きされるものの金額や控除後振込額なども記載されています。
年金振込額がそのまま口座に振り込まれるわけではないため、どのようなものが天引きされるのかよく理解する必要があります。

本記事では、厚生年金や国民年金から天引きされるお金の種類や内容を解説するとともに、年金振込通知書の見方についてもご紹介していきます。

1. 厚生年金・国民年金から天引きされるもの

厚生年金や国民年金からは、年金の種類や年金額などが一定の条件に該当する場合、原則として以下の4つの保険料や税金が天引きされます。

  • 介護保険料
  • 国民健康保険料
  • 後期高齢者医療保険料
  • 所得税、住民税

厚生年金や国民年金の「年金支払額(額面金額)」から上記の項目が天引きされ、実際に口座に振り込まれるのは「控除後振込額(手取り額)」です。なお、年金から天引きされることを「特別徴収」といいます。

では、年金から天引きされるそれぞれの項目について詳しく確認していきましょう。

1.1 介護保険料

65歳以上で老齢年金・退職年金・障害年金・遺族年金(以後、「老齢年金等」)を受給しており、年間受給額が18万円以上(月額1万5000円以上)の方は、原則として年金から介護保険料が天引きされます。

ただし65歳以上の方でも、65歳になってからの一定期間やほかの市区町村から転入した場合などは、口座振替や納付書払いによる「普通徴収」で納付することがあります。

1.2 国民健康保険料

国民健康保険料は、65歳以上75歳未満(後期高齢者医療制度の該当者を除く)で、老齢年金等を受給している方のうち、年間の受給額が18万円以上の方が天引きの対象です。

ただし、国民健康保険料と介護保険料の合計額が、各支払期の年金額の2分の1を超える場合は、国民健康保険料は天引きされません。

1.3 後期高齢者医療保険料

後期高齢者医療保険料は、75歳以上の方、または65歳以上75歳未満で後期高齢者医療制度に該当する方のうち、老齢年金等を受給しており、年間の受給額が18万円以上の方が天引きの対象です。

ただし、後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が、各支払期の年金額の2分の1を超える場合は、後期高齢者医療保険料は天引きの対象外になります。

1.4 所得税、住民税

所得税は、65歳以上で老齢年金等を受給している方で年間の受給額が18万円以上の方が天引きの対象です。

また、年金所得は雑所得として扱われており、一定の金額以上受給している場合、所得税がかかり年金から天引きされます。一定の金額とは、65歳未満の場合は年金額が108万円以上、65歳以上の場合は158万円以上です。

ここまで年金から天引きされる税金や社会保険料について確認してきました。実際に自分の年金からいくら天引きされて、手取り額がいくらになるのかは、6月頃に年金受給者に郵送される「年金振込通知書」で確認できます。

次章で年金振込通知書がどういうものかを詳しく見ていきましょう。