7. 厚生年金・国民年金の平均受給額はいくら?
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金と厚生年金それぞれの平均受給額は、下記のとおりです。
【国民年金】
- 男女全体平均月額:5万6316円
- 男性平均月額:5万8798円
- 女性平均月額:5万4426円
【厚生年金(国民年金を含む)】
- 男女全体平均月額:14万3973円
- 男性平均月額:16万3875円
- 女性平均月額:10万4878円
日本の公的年金は2階建て構造となっていますが、どちらに加入しているかによって受け取れる年金が異なります。
一般的には厚生年金のほうが金額が多くなりますが、それでも月額にすると約14万円です。
ゆとりある老後を過ごすには年金以外の備えが必要となるでしょう。
次章では、現役ファイナンシャルアドバイザーの筆者が老後に向けた資金準備の方法を3選ご紹介します。
8. 老後の備え3選
以下は、老後の備えにおすすめの資産運用法を3つ例にあげています。老後資金づくりを検討している方は、参考にしていただけると幸いです。
8.1 <個人年金>
個人年金は、契約時点で将来受け取る年金額が決まっているものも多く、安全性を重視しながら計画的に老後資金を準備したい方にはぴったりです。
ただし、インフレリスクがある点には気をつけましょう。
年金受取時までに物価上昇(インフレ)が続いたとしても、将来受け取る年金額は契約時に決まった金額しか受け取れません。
将来の物価上昇率まで見越した年金額を受け取れるわけではないため、今後、物価上昇が続いた場合、個人年金で準備した老後資金だけではお金が足りないなんてことも十分想定されるため注意が必要です。
8.2 <変額保険>
変額保険は、投資と保障を両立した保険商品です。家族がおり、万一の自身の保障にも備えながら、将来資金の準備がしたいという方におすすめです。
しかし、変額保険はコスパが悪いという点があります。
支払った保険料は万一の保障にまわる分と運用にまわる分に分かれています。
また、保障と運用にかかる手数料の負担も考えると、純粋に投資するより運用効率が劣る点には注意しておきましょう。
8.3 <投資信託>
投資信託では、高い利回りが期待できる海外の株式などで運用すれば将来的にまとまった資産を準備できる期待ができます。
また、NISAやiDeCoなど投資で得た利益が非課税で受け取れる制度を活用すれば、より効率的に資産を増やす期待もできます。
ただし、投資信託は日々価格が変動し将来必ず資産が増えるものではありません。
運用状況によっては大きく損をすることも十分ありえますし、10年や20年以上など長く運用していれば、ほとんどの方は元本割れを経験することもあるでしょう。
そのため、投資経験がない方や投資に関する知識が十分でないと感じる方は、自分ひとりで運用を始めるのでなく、証券会社や金融機関出身のIFAなど投資のプロに相談しながら運用を始めることが大事です。
また、投資に「元本保証はない」「投資すれば必ず増える訳ではない」ということは肝に銘じておきましょう。
9. まとめにかえて
今回は年金から引かれるお金や、6月から開始する定額減税について解説してきました。
公的年金の平均受給額を見てもわかる通り、老後は年金を頼りに生活することは難しそうです。
少子高齢化や物価上昇が進むなかで老後資金を準備するには、個人で年金を用意したり、NISAなどを用いた資産運用が効果的です。
筆者が紹介したもののなかから、ご自身にも取り入れられそうなものを検討してみてください。
参考資料
- 厚生労働省「保険料(税)の特別徴収」
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」
- 厚生労働省「高齢期における年金制度」2023年10月24日
- 豊中市「公的年金からの特別徴収額が10月から急に高くなったのはなぜですか」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「第9期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」
- 日本年金機構「公的年金から源泉徴収される所得税等の定額減税」
鶴田 綾