厚生労働省が5月14日に発表した資料によると、4月より65歳以上の介護保険料が増額しています。
全国平均は月6225円ですが、介護保険制度が開始した2000年度(月2911円)と比較すると、約2.14倍にも介護保険料は増えています。
介護保険料は40歳になると納付義務が発生し、給料から天引きされることはもちろんですが、年金からもしっかり天引きされます。
「ただでさえ少ない年金から介護保険料を引かれて手取りが少ないのに、その上保険料が上がるなんて困る!」という高齢者の方も多いようです。
実際、年金は介護保険料だけでなく税金やその他の社会保険料も引かれるため、実際の受取額では生活が厳しいと嘆く高齢者も少なくありません。
今回は年金の落とし穴でもある、「年金から控除される税金や社会保険料」について解説していきます。
記事後半では、6月に実施間近の「定額減税」についても解説していきます。
1. 年金の落とし穴1つ目「年金は額面通りに受け取れない」
年金受給者が受け取る年金額は、実際の額面金額から税金や保険料が天引きされるため、額面通りに受け取ることはできません。
以下に、年金から天引きされる4つの主なお金について詳しく説明します。
1.1 個人住民税
前年の所得に基づいて課税される住民税は、一定の条件を満たすと年金から天引きされます。
ただし、所得が一定の額に達しない場合は非課税となり、住民税の支払い義務が発生しないこともあります。
1.2 所得税および復興特別所得税
年金収入が一定以上になると所得税が発生し、その所得税は年金から天引きされます。
また、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」に基づき、所得税と共に復興特別所得税も徴収されます。
ただし、障害年金や遺族年金を受給する場合は非課税です。
1.3 介護保険料
40歳以上の人には介護保険料の支払い義務があり、65歳以降は介護保険料を単独で納付します。
年間の年金支給額が18万円以上の方は、介護保険料が年金から天引きされることになります。
介護保険料は年々増加傾向にありますが、これは高齢化が進んだことが背景にあり、介護サービス利用者の増加や認知症患者の増加も一因です。
また、介護保険制度の財政健全化のために必要な財源確保も保険料引き上げの要因となっています。
なお、自身が介護状態になっても介護保険料の支払いは一生続きます。
1.4 健康保険料
国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料も、基本的に年金から天引きされます。
これにより、健康保険料も年金から支払うことになります。
以上の4つの費用が年金から天引きされるため、実際に振り込まれる金額は額面金額よりも少なくなります。
年金受給者はこの点を考慮して、日々の生活費や貯蓄計画を立てるようにしましょう。