3. 約55%の学生が奨学金を利用している

日本学生支援機構の「令和4年度学生生活調査」によると、学生の約55%が日本学生支援機構(JASSO)をはじめとした何らかの奨学金を利用しているとされています。奨学金の利用者は年々増加傾向にあり、平成30年度には47.5%でしたが、令和2年度には49.6%、そして令和4年度には55.0%となっています。

高額になりがちな学費や生活費の支払いに奨学金を利用する方が多いため、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金について概要を確認しておきましょう。

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には、「給付奨学金(返済不要)」と「貸与奨学金(返済必要)」があります。

3.1 給付奨学金(返済不要)

給付奨学金は、給付型奨学金の支給が受けられるほか、授業料や入学金の免除や減免が受けられるものです。返済が不要なので、卒業後の返済について心配する必要がありません。

【受給要件】

受給要件は、以下の2点を満たす学生全員です。

  • 世帯収入や資産の要件を満たしている
  • 学習する意欲がある学生である

世帯収入や資産については、「住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯」とされており、家族構成などにより基準額が異なります。対象になるかどうかを確かめるには、日本学生支援機構(JASSO)公式サイトの「進学資金シミュレーター」で確認できます。

【受給金額】

受給金額は、国公立大学か私立大学か、また、自宅から通学かひとり暮らしをしているかによって異なります。

国公立の場合、自宅から通学する学生には月額2万9200円が、ひとり暮らしの学生には6万6700円が支給されます。

一方、私立の場合は、自宅からの学生には3万8300円が、ひとり暮らしの学生には7万5800円が支給されます。

ひとり暮らしの学生の場合、自宅から通う学生の2倍前後の金額となっているようです。

【授業料・入学金の免除】

授業料の免除額は、国公立で年額54万円、私立で70万円です。入学金は、国公立で28万円、私立で26万円が免除されます。

3.2 貸与奨学金(返済必要)

貸与奨学金には、利子の支払いの有無によって以下の2つがあり、併用することも可能です。

  • 第一種奨学金(無利子)
  • 第二種奨学金(有利子)

利用できるのは、いずれも経済的な事情により修学が困難であり、一定の学力基準に達した優れた学生であると認められる場合です。

3.3 【受給金額】

受給金額は、第一種奨学金と第二種奨学金とで異なります。

<第一種奨学金>

国公立・一人暮らしの場合、2万円、3万円、4万円、5万1000円、自宅からの通学は2万円、3万円。4万5000円です。

私立・一人暮らしの場合は、2万円、3万円、4万円、5万円、6万4000円、自宅からの通学は2万円、3万円。4万円、5万4000円です

<第二種奨学金>

月額2万円〜12万円の間で1万円刻みのいずれかの金額です。なお、私立大学の医・歯学部の場合、12万円に4万円の増額が可能で、私立大学の薬・獣医学部の場合は2万円の増額が可能です。

4. まとめにかえて

大学生がひとり暮らしをする場合、毎月平均約9万円の生活費がかかります。ただし、全国平均であるため、都市部ではさらに高額になることが考えられるでしょう。

また、収入は家庭からの仕送りが最も多く約6割を占めており、毎月約11万4000円が平均額となっています。毎月、これだけの金額を仕送りするのは家計の負担が大きいため、奨学金やアルバイト収入なども活用して、ひとり暮らしの費用に利用できると良いでしょう。

参考資料

木内 菜穂子