4. 「国民年金・厚生年金」月額いくらの人が多い?
前章では60歳~89歳までの平均月額を見てきましたが、実際には個人で受給額は異なるものです。
国民年金・厚生年金、それぞれ月額いくらの人が多いのでしょうか?
4.1 国民年金(老齢基礎年金)
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
上図のとおり、国民年金は月額1万円に満たない人がいる一方で、月額7万円以上の人もいます。
男女ともに月額6万円台の人が多いようですね。
4.2 厚生年金
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
厚生年金は、月額1万円未満~30万円以上と個人差が大きいことがわかります。
男性は月額17万円台、女性は9万円台がボリュームゾーンとなっています。
前章の年齢別の平均月額では読み取ることができない、厚生年金の個人差をここで確認することができました。
また、いまの高齢者世代が現役だった頃の働く環境に大きな男女差があったことが、厚生年金の年金額からも読み取ることができますね。
5. 「ねんきん定期便・ねんきんネット」で見込額の確認を!
本記事では、国民年金と厚生年金の年金月額を確認してきました。
自分が将来どれくらい年金を受給できるのか?見込額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。
年金加入状況も記載されていますので、確認しておくと良いでしょう。
ただし、年金制度は5年に1度「いまのままで制度を維持できるのか」検証が行われ、結果によって改正されていくものです。
現行制度における年金支給水準は本記事で確認したとおりですが、5年後、10年後、20年後…の状況は不確定となるため、こうした仕組みも含めて老後対策を進める必要があります。
5.1 ご参考:2024年度「国民年金・厚生年金」年金額の例
2024年度の公的年金は前年度から2.7%プラス改定となりました。
公的年金は2ヶ月に1度、偶数月の15日(土日祝日の場合は直前の平日)に2ヶ月分が支給されます。
2024年度4月分・5月分は6月14日(金)が初回支給となります。
年金額の例は以下のとおりです。
国民年金の満額は月額6万8000円で前年度から1750円増額となります(昭和31年4月1日以前生まれの方は月額6万7808円で1758円の増額)。
厚生年金は、標準的な夫婦2人分の年金額で、23万483円で前年度から6001円増額となります。
標準的な夫婦2人とは、賞与を含む平均標準報酬が月額43万9000円で40年間働いた会社員の夫と、40年間ずっと専業主婦だった妻を想定。
夫婦2人の国民年金と夫の厚生年金を合算すると23万483円になるということです。
このように、年金額は毎年度見直しが行われ、賃金や物価の上昇を背景に改定が行われます。
ただし、2023年の一年間の物価上昇率は3.2%でしたので、物価上昇率を上回る年金額増額とはなっていません。
老後対策を進める際には、将来、いまのような物価上昇も考慮しておきましょう。
参考資料
和田 直子