2024年は5年に一度の年金の財政検証が実施される年です。
財政検証とは、公的年金制度の健全性をチェックするもので、厚生労働省は「公的年金財政の定期健康診断」と例えています。
現行制度が健康でない場合には何かしらの対応策がとられるため、注目度の高いトピックといえるでしょう。
厚生労働省が発表した「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、公的年金だけで老後生活を過ごす高齢者は44%。いまの高齢者世帯の年金暮らしは、すでに厳しい状況にあるようですが、いったい、ひと月あたりの年金受給額はどれくらいあるのでしょうか。
本記事では、年金生活者の実態を把握するために、厚生労働省から公表された「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、最新の厚生年金と国民年金の受給額を確認していきます。
1. 日本の公的年金制度「国民年金・厚生年金」の仕組みをおさらい
最初に、日本の公的年金制度について、その仕組をおさらいしておきましょう。
日本の公的年金制度は「2階建て」の構造になっています。
下図を見ていただくとイメージしやすいでしょう。
2階建ての1階部分にあたる国民年金(基礎年金)は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が原則として加入する年金です。
2階部分にあたる厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に上乗せする形で加入する年金です。
それぞれの特徴を確認しておきましょう。
1.1 国民年金
先述したとおり、国民年金は日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人に加入義務があります。
なお、国民年金の被保険者は働き方などによって以下のとおり「第1号・第2号・第3号」の3つに分類されます。
- 第1号被保険者:20歳以上の学生や自営業者など
- 第2号被保険者:厚生年金にも加入する会社員や公務員など
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される配偶者
老後に受給する国民年金の年金額は、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)における保険料納付月数により決定します。
ただし、第1号被保険者は自身で国民年金保険料を納付しますが、第2号・第3号被保険者は、第2号被保険者が加入する厚生年金制度によって国民年金の保険料が負担されるため、別途納付する必要はありません。
1.2 厚生年金
厚生年金は、厚生年金保険の適用事業所に勤める一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入する年金です。
主に会社員や公務員、扶養控除を外れて働くパート・アルバイトなどが該当します。
厚生年金の保険料は給与や賞与などから天引きされていますので、明細を確認してみると良いでしょう。
保険料額は年収によって決定するため個人で異なります。
老後に受給する年金額は、年金加入期間と納付保険料によって決定するため、現役時代の働き方が年金収入に大きく影響することを理解しておきましょう。
さて、冒頭で申し上げたとおり、公的年金だけで老後生活を過ごす高齢者世帯は半数に満たない状況です。
いまの高齢者の年金受給額はどれくらいなのでしょうか。
次章で、厚生労働省から公表された「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、年齢別の平均年金月額を確認していきます。