6. 元金融機関勤務の筆者が考える「老後の備え」

ここからは、元金融機関勤務の筆者が考える「老後の備え」について解説します。

6.1 年金の繰下げ受給

そもそも年金自体の金額を増やそうと思うと、付加保険料や繰下げ受給で公的年金を増やす方法もあります。

年金の繰下げ受給は、年金を受給開始する年齢を遅らせることで、より高い年金額を受け取ることができる制度です。

通常、年金を受給開始する年齢が遅いほど、受給額が増えます。

そのため、70歳から年金を受給する場合は、65歳から受給する場合よりも受給額が増えることがあります。

ただし、具体的な増額率や受給開始年齢によって異なるため、個々のケースによって得になるかどうかは異なる可能性があります。

また、受給開始年齢を遅らせることで、受給年数が減るため、その点も考慮する必要があります。

年金を繰下げ受給して増やす方法以外の資産形成として、次のような方法があります。

6.2 NISAやiDeCo

国が用意している制度である新NISAやiDeCoを用いて資産を増やす方法もあります。

どちらも税制優遇の制度となっており、資産を増やすと同時に節税の効果も期待できるものです。

ただ、iDeCoや新NISAは株や投資信託での資産運用となり、元本割れリスクが伴います。

とくに投資初心者の方は銘柄選びなどで迷うこともあるでしょう。そのため、自分自身の意向に合った銘柄選びのための情報収集が大切になってきます。

なお、老後資金を貯めている最中に大きな病気をしたり介護状態になったりすると、iDeCoや新NISAの積み立てをストップせざるを得なくなるケースもあります。

そういったときに役立つのが、投資機能と保障機能を兼ね備えた保険商品です。

6.3 保険商品

変額保険や外貨建て保険を用いることで、がんになったり、介護状態になっても保障を受けながら投資を続けられるというメリットがあります。

とくに外貨建ての保険商品は返戻率が高いものも多く、老後に向けた資産形成として保険商品を選ぶ方も多いです。

日本円の価値が低下している昨今、資産の一部を外貨にしてもつことが非常に重要視されています。

もしも資産運用や保険のことで迷ったら筆者をはじめとしたお金のプロに、いつでもご相談いただければと思います。

7. まとめにかえて

今回は働き世代の意識調査の結果から、現代シニアの年金事情について解説してきました。

就業しながら年金を受け取るシニアが増えていくことが予想されるなか、税負担はこれまで以上に重くのしかかってくるでしょう。

厚生年金と国民年金の一覧表からもあった通り、年金だけで老後生活を送ることは難しくなってきています。

安心して老後を迎えるためには、繰下げ受給して年金額を増やしたり、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用して資産形成するのもひとつの方法です。

日本円の価値が下がってきていることから、円以外の資産をもつ層が増えてきており、貯蓄と投資の両方を兼ね備えた外貨建ての保険商品も人気が高まっています。

「これから貯蓄したいけど、何から始めたらいいかわからない」という方は、一度お金のプロに相談してみてはいかがでしょうか。

参考資料

筒井 亮鳳