最近では、定年退職後もさまざまな理由で働き続ける方が増えています。

以前にも比べて、元気なシニアが増えていますし、まだまだ働くことができるのであれば、働くことでやりがいを感じることができ、企業の人手不足も補うことができるのであれば、より良い世の中にもなるでしょう。

もちろん、公的年金だけでは生活ができないという声もあります。勤労収入を増やすことで生活も豊かになります。

働き方によって正社員や派遣社員、パートやアルバイトなど、いろいろな働き方がありますが、受給している老齢厚生年金の受給額、社会保険に加入するか否かを含めた働き方、賞与を含む給与によって、老後の収入も変わってくることがあるのです。

今回は「在職老齢年金」制度について、シミュレーションを交えながら解説していきます。老齢厚生年金を受け取りながら働く予定の方はぜひ一緒に確認しましょう。

1. 働き方によって老齢厚生年金の調整(減額)がある

在職老齢年金という制度があり、月額で一定の収入になると「公的年金を調整」というかたちで減額されます。

これは、収入が多いからというわけでの減額ではありません。老齢厚生年金を受給して厚生年金に加入しながら働くケースでは、賞与を含む給与額が一定額以上になると公的年金が減額されます。

減額される金額は年度ごとに変更され、2024年度は月額50万円です。

「月額50万円」と聞くと該当しないのでは、と思われるかもしれませんが、この金額は、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額となります。

それぞれ詳しく解説していきます。

1.1 老齢厚生年金の「基本月額」

加給年金を除いた老齢厚生年金(年額)を12(月)で割った金額を指します。

たとえば老齢厚生年金を年額120万円(税引き前)受給している場合、12で割った10万円が「基本月額」です。

1.2 「総報酬月額相当額」の考え方

総報酬月額相当額は「その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12(月)」で計算されます。

【写真全2枚中1枚目】「総報酬月額相当額」の考え方。2枚目では実際のシミュレーション結果を掲載。

出所:筆者作成

次の章から、実際に厚生年金が減額されるシミュレーション結果について詳しくみていきましょう。