4. 【最新】厚生年金「月額14万円以上」受給する人の割合は何パーセントか

では、厚生年金の平均月額はいくらでしょうか。厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に見ていきましょう。

厚生年金の受給額一覧表

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

4.1 厚生年金の平均年金月額

〈全体〉平均年金月額:14万3973円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万4878円

※国民年金部分を含む

全体は14万3973円でしたが、男女で月約6万円の差が出ました。

次に、厚生年金をひとりで「月額14万円以上」受給する人は何パーセントいるのかみていきましょう。

4.2 【厚生年金】受給額ごとの人数(1万円刻み)

  • 1万円未満:6万1358人
  • 1万円以上~2万円未満:1万5728人
  • 2万円以上~3万円未満:5万4921人
  • 3万円以上~4万円未満:9万5172人
  • 4万円以上~5万円未満:10万2402人
  • 5万円以上~6万円未満:15万2773人
  • 6万円以上~7万円未満:41万1749人
  • 7万円以上~8万円未満:68万7473人
  • 8万円以上~9万円未満:92万8511人
  • 9万円以上~10万円未満:112万3972人
  • 10万円以上~11万円未満:112万7493人
  • 11万円以上~12万円未満:103万4254人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5662人
  • 13万円以上~14万円未満:92万5503人
  • 14万円以上~15万円未満:95万3156人
  • 15万円以上~16万円未満:99万4044人
  • 16万円以上~17万円未満:104万730人
  • 17万円以上~18万円未満:105万8410人
  • 18万円以上~19万円未満:101万554人
  • 19万円以上~20万円未満:90万9998人
  • 20万円以上~21万円未満:75万9086人
  • 21万円以上~22万円未満:56万9206人
  • 22万円以上~23万円未満:38万3582人
  • 23万円以上~24万円未満:25万3529人
  • 24万円以上~25万円未満:16万6281人
  • 25万円以上~26万円未満:10万2291人
  • 26万円以上~27万円未満:5万9766人
  • 27万円以上~28万円未満:3万3463人
  • 28万円以上~29万円未満:1万5793人
  • 29万円以上~30万円未満:7351人

30万円以上~:1万2490人

※国民年金部分を含む

厚生年金を「ひとりで月14万円以上」受給しているのは52.1%でした。

5. 「国民年金(基礎年金)のみ」では月額平均でいくらか

先ほどの厚生年金は国民年金を含む平均月額でした。

では、1階部分の「国民年金部分だけ」の平均月額はいくらでしょうか。

国民年金の受給額一覧表

出所:出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

5.1 国民年金(老齢基礎年金)の受給額

〈全体〉平均年金月額:5万6316円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万4426円

5.2 【国民年金】受給額ごとの人数(1万円刻み)

  • 1万円未満:6万5660人
  • 1万円以上~2万円未満:27万4330人
  • 2万円以上~3万円未満:88万1065人
  • 3万円以上~4万円未満:266万1520人
  • 4万円以上~5万円未満:465万5774人
  • 5万円以上~6万円未満:824万6178人
  • 6万円以上~7万円未満:1484万7491人
  • 7万円以上~:178万3609人

国民年金のみでは5万6316円となりました。

厚生年金に比べると、国民年金のみで老後生活するのは難しいでしょう。

6. 厚生年金と国民年金「天引き」される4つのお金とは?

これまで厚生年金と国民年金の「額面」を見てきましたが、ここからは年金から天引きされる4つの費用について詳しく解説していきます。

6.1 介護保険料

40歳から64歳までは介護保険料が健康保険料に含まれていますが、65歳になると単独での支払いが必要になります。

年金受給額が年間18万円以上の方は、介護保険料が年金から天引きされることになります。

また、この介護保険料の支払いは一生続き、介護状態になった場合でも支払いが継続される点に注意が必要です。

介護保険料の額は自治体ごとに異なり、増加傾向にあるため定期的に確認しておきましょう。

6.2 国民健康保険料や後期高齢者医療制度の保険料

国民健康保険料や、75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度の保険料も年金から天引きされます。

特別徴収(天引き)の場合や、納付書や口座振替での普通徴収となるケースもあります。この場合、年金からの天引きは行われません。

6.3 個人住民税

前年の所得に基づいて課税される住民税は、一定の年金所得がある場合に天引きされます。

ただし、収入が一定以下の場合や障害年金・遺族年金を受給している場合は非課税となります。

住民税は地域によって異なるため、詳細は自治体で確認することが重要です。

6.4 所得税および復興特別所得税

一定額以上の年金受給者には所得税が課されます。公的年金は雑所得として扱われ、65歳未満なら年間108万円、65歳以上なら年間158万円を超えると課税対象になります。

さらに、東日本大震災の復興財源として復興特別所得税も併せて源泉徴収されます。ただし、公的年金以外に収入がない場合、65歳未満で108万円以下、65歳以上で158万円以下の受給者は所得税が課されません。

また、障害年金や遺族年金の受給者は、所得税および復興特別所得税が非課税となります。

7. 厚生年金と国民年金「老後資金の3つの対策」

今回は、厚生年金と国民年金の受給額および天引きされる費用について詳しく見てきました。

少子高齢化が進む日本では、現役世代だけでなく、高齢者世代にも社会保険料の負担が増加していくと予想されています。

高齢化社会に伴い、税金や保険料の負担が増えることで、年金生活者の家計が圧迫される可能性が高まっています。このような状況で、毎月の生活費が赤字になることを避けるためには、年金以外に頼れる老後資金の準備が必要です。

7.1 老後資金の準備方法

老後資金は、単なる預貯金にとどまらず、以下のような多様な方法で準備することが重要です。

私的年金

公的年金を補完する形で、個人年金保険や企業年金などの私的年金を活用することで、老後の収入を安定させることができます。

資産運用

新NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を利用し、効率的に資産を増やす方法も有効です。これにより、税負担を軽減しながら資産を増やすことが可能です。

不動産投資

不動産を購入し、賃貸収入を得ることで、年金に頼らない安定した収入源を確保することができます。上記2つよりリスクが大きくなりやすいので、事前の情報収集は必須です。

現役世代の間から、老後資金の準備を始めることが、将来の経済的安定につながります。まずは、自分に合った方法を見つけ、計画的に資産形成を進めましょう。早めの対策が、豊かで安心できる老後生活の鍵となります。

参考資料

齊藤 慧