老後は2か月に一度振り込まれる厚生年金や国民年金が生活の柱となることが多く、不足する分は貯蓄を取り崩すなどしてカバーすることが考えられます。
おひとりさまの場合、生活費のすべてをひとりの年金や貯蓄でまかなわなければならず、年金がいくらもらえるのか、また、貯蓄はいくらあれば良いのか悩んでしまう方もいるでしょう。
そこで本記事では、60歳代と70歳代のおひとりさまがどのくらい年金を受け取っているのか、また、貯蓄額はどのくらいあるのかリアルな実態について解説していきます。
1. おひとりさま60歳代・70歳代の貯蓄額
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によると、おひとりさま60歳代の平均貯蓄額は1468万円、70歳代では1529万円です。
ただし、平均貯蓄額は金額の大きな世帯が値を引き上げていることがあるため、「中央値」の方がより実感に近い平均額といわれています。おひとり60歳代の中央値は210万円、70歳代では500万円という結果になっており、実際にはこちらの方が平均的な貯蓄額といえます。
1.1 60歳代おひとりさまの貯蓄状況
60歳代おひとりさまの貯蓄状況について、さらに詳しく確認していきましょう。下表は、貯蓄額ごとの割合をまとめたものです。
60歳代おひとりさまの貯蓄額を見ると、最も多いのが「金融資産なし」で約33%を占めており、約3人に1人は貯蓄なしという状況です。
次いで多いのが「3000万円以上」で約15%となっており、高額な貯蓄がある方がいる一方でほとんどない方がいるという「貯蓄額の両極化」が起きていることがわかります。
1.2 70歳代おひとりさまの貯蓄状況
続いて、70歳代おひとりさまの貯蓄状況も見ていきましょう。
70歳代おひとりさまでも最も多いのは「金融資産なし」で26.7%ですが、60歳代よりも6.6%減少しています。次いで多いのが「3000万円以上」で17.3%となっており、60歳代よりも2.2%増加しています。
60歳と同様に貯蓄額の両極化が見られますが、70歳代の方が緩和されているといえるでしょう。
では、60歳代・70歳代おひとりさまは厚生年金や国民年金といった公的年金をどのくらい受給しているのでしょうか。
次章で詳しく見ていきます。