非日常の世界とも言える、都心の一流ホテル。そこを生活の場としている人は、著名人にも多くいます。古くは全日空ホテルに暮らした映画評論家の故淀川長治さん。帝国ホテルに暮らした大女優の故山田五十鈴さん。海外ではココ・シャネルがフランスのホテルリッツのスイートルームを住まいとしていたことが知られています。

作家の伊集院静さんも、20代後半からの7年程、逗子のなぎさホテルに暮らしていました。故夏目雅子さんとの愛を育んだ場所として、なぎさホテルは小説やエッセイにも度々登場しています。

最近では、ホリエモンこと堀江貴文さんも、ホテル暮らしをしていることをインタビューなどでお話しされています。家具など家財道具は持たず、少しの服と愛用品、便利な電子機器などスーツケース2つか3つ分あれば快適に暮らしていけるのだそうです。

一流ホテルが生活の場になるのはなんともうらやましいですね。しかし、ホテル暮らしを実現するには多額の費用もかかります。同等のコストをかければ、都心の一等地の高級マンションを借りたり、あるいは購入だって可能なはず。それでも彼らがホテルを選ぶ、そのメリットとは何でしょうか。

ホテルに暮らすメリット

①「光熱費」「朝食代」「生活用品」「清掃」が全て宿泊費用に含まれる

賃貸マンションなどの部屋を借りると、最初に面倒な契約書を交わし、保証人を用意し、礼金敷金を支払い、さらに暮らし始めたら部屋代だけではなく水道光熱費も発生します。その1つ1つの契約、支払手続きは、多忙な人には面倒なことこの上ありません。

それに加え、朝食の具材を買ってきて自分で調理し、シャンプーなどの生活用品を購入し、部屋の掃除をしなければ生きていけません。

しかし、ホテルなら今日から泊まると決めたら、1泊の宿泊料金にすべてが含まれています。値段が高いかもしれませんが、その分の手間や諸費用が抑えられるのは嬉しいですね。引っ越そうと思えば、荷物を詰めてホテルからチェックアウトするだけ。忙しい方には、わかりやすいし気楽ですね。

②コンシェルジュが生活をサポートしてくれる

多忙な人は、日々の家事にお手伝いさんを雇う必要がありますが、ホテルなら毎日スタッフが居室やバスルームをピッカピカにしてくれて、リネン類も新しいものに取り換えておいてくれます。

また、有料になりますが24時間頼めるルームサービスも便利です。夜食を届けてもらったり、ランドリーを頼んだり、1つ1つには料金が発生するとしても、それは頼んだ分だけ。頼まなければ費用はかからない、明朗会計で無駄がない生活をホテルでは過ごせます。

また、ホテルのコンシェルジュがチケットの予約、大切な顧客との食事の場所探しや、お祝いのお花の手配など、サービスのプロが助けてくれるのも心強いですね。

③都心の一等地にあり、アクセスは最高

著名人がホテル暮らしに選ぶホテルは都心の一等地の高級ホテル。どこへ行くのもタクシーや地下鉄、時には徒歩でも行くことができて大変便利です。車を所有する必要はありません。また、生活の拠点にしているホテルがある場合は、その場所を住所登録することが可能なので、郵便物も受け取ることができます。

④セキュリティも安心

住まいのセキュリティもしっかりしておきたいもの。ホテルであれば郵便物はフロントが預かってくれますし、24時間警備も万全。いたるところに防犯カメラもあり不審者対応もしっかりしていて安心です。

⑤スタッフさんが24時間いる安心感

ホテルを生活の場にしていたら、ドアマン、フロントスタッフ、レストラン・・・と数多くのスタッフと顔見知りになれます。彼らは接客のプロですから、適度な距離を保ちつつ親身に接してくれるでしょう。24時間誰かが待機してくれている安心感もあり、ひとり暮らしの不安や寂しさも和らぎます。

ひとり暮らしの部屋で病死し死後何日も発見されなかったというニュースを見ますが、ホテル暮らしなら24時間以内には見つけてくれそうです。

⑥ホテル内の施設が使える

ホテル内には、レストランやトレーニングジム、スパなど各種施設が揃っています。いちいち外に出る必要がなく、セキュリティ面でも安心です。毎回これら施設にお金をかけている場合、その分の費用が浮きますね。

ホテルに暮らすデメリット

こんなに便利で快適なホテル暮らしですが、もちろん不便なところもあるでしょう。次に、ホテル暮らしのデメリットについて、考えてみました。

①決して費用が安いわけではない

少しでも良い環境、良いサービスを受けるために、一流のホテルを選ぶとなると宿泊費がかなりかかることは覚悟しなければなりません。単純に1泊12,000円×30泊でも360,000円となります。

しかし、ホテルに対し、事前に長期滞在を申告してある程度の日数分を前払いしておくと、長期滞在の割引が利く場合もあります。都心の一等地にマンションを借りるのなら、サービスもついての値段と思えば安く感じられる場合もあります。

なお、ホテルの宿泊費には税・サービス料の他、東京都では1泊10,000円以上の宿泊について宿泊税が別途かかります。(宿泊税:1人1泊10,000円~15,000円→100円、1人1泊15,000円以上→200円)

②外食が多くなり、より入念な健康管理が必須

ホテル暮らしでは、食事は全て外食またはルームサービスになってしまい、ついつい食べすぎたり、食事のバランスが崩れてしまいます。健康的な食生活を送るためには、かなりの自己管理が必要になります。

冷蔵庫も飲み物を冷やす程度のコンパクトなものしかなく、ミニキッチンなどがついているものもありますが、本格的な料理はできません。ホテルでは、たまには料理の腕を奮いたいと思っても難しいといえます。

③隣の部屋の音や廊下の音が気になる

ホテルは居住を目的として造られたものではないため、住居と比べると壁が薄く、廊下の音が響いたり、隣の部屋の会話やドアの開閉などが意外と聞こえたりしてしまうものです。また、チェックアウト後の時間帯には部屋のクリーニングで掃除機の音が聞こえてきて、落ち着かないこともあります。

④照明が暗めで、乾燥しやすい

ホテルの部屋は、生活のためではなくリラックスした滞在を送るためのものなので、間接照明などを多用して、照明が暗めなのが不便なことも。デスクランプなどもありますから、上手に活用する必要があります。

一流ホテルなどでは、加湿器や空気清浄機が完備されているところも多いですが、ホテルは乾燥しやすく、すぐ喉を痛めてしまうという方もいるので注意が必要です。

⑤洗濯が不便

ホテルのランドリーサービスを使えるとはいっても、下着までは出せず、部屋で手洗いをするのがかえって面倒に思うことも。洗いたい時にさっと洗えないことも不便に感じるようです。

⑥所持品に制限が発生する

通常の引越しのように、多くの荷物をそのまま部屋に運ぶことはできません。あったとしてもタンスは小さいですし、収納のスペースは限られています。よって必要ではないものは捨てるか、どこかに保管しなければいけず、手元の荷物は減ってしまいます。

まとめ

ホテル暮らしを選択する著名人を見ると、どの人にも共通するのは、独身で、その活躍の場は東京だけに留まらず、日本国内、時には海外にも活躍の場を広げている方たちです。カバン1つとパスポートがあれば、突然明日から海外生活も可能な、そんな身軽で自由な暮らしぶり。

今、必要最小限のものだけを所有してシンプルに暮らすミニマリストが注目されていますが、ホテル暮らしをする彼らこそ究極のミニマリスト達ではないでしょうか。

マンションジャーナル